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「スキルはユウキ、顔はランかな(笑)」男子バレー日本代表が海外でも大人気なワケ… 記者も驚いたフィリピン熱狂の夜「彼らは実写版ハイキューだ」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2024/07/03 11:03
パリ五輪でもメダルが期待されるバレーボール日本代表。国内だけに留まらず、世界からも注目を集めている
白熱した試合では、自然に「ニッポン!」と「U・S・A!」コールが入り混じる。人気が高い高橋藍は欠場で会場にも不在。アメリカ代表のトリー・デファルコは控えに回ったが、大型ビジョンにその姿が映されるたび、コンサート会場のような悲鳴に近い歓声も起こった。
中盤からはやや「U・S・A」コールが優勢に。中でも、この日一番の盛り上がりを見せたのは、日本が第3セット終盤に逆転したところでクリステンソンが投入された場面だった。
このままストレートで負けるものか、とアメリカ代表の主将がコートに立つ。セッターとしてどんな策を打ってくるのか、と記者席でも思わず姿勢が前のめりになった矢先、ある男が空気が一変させる。
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とんでもない回転と軌道のサーブで怒涛の3連続サービスエースを見舞った宮浦健人だった。
25対19――この日、一番の「ギャーーーー!!」という歓声に負けないほど、宮浦の雄叫びも響き渡った。
「完全に声が嗄れました(笑)。でも最高の雰囲気で後押ししてもらえたし、(クリステンソンが出てきて)盛り上がって、これは攻めるしかないよな、と。とにかく何も考えずに思い切り打った結果、いいサーブが打てました」
宮浦のサーブで押し切った日本がストレート勝ちを収め、熱狂の夜も閉幕。試合後、筆者の隣で「USA」コールを口にしていたフィリピン人記者から「アメイジング」と宮浦のサーブを笑顔で称えられた。
「素晴らしい試合で楽しかった。おめでとう。パリオリンピックで日本がトップ3に入ったら、フィリピン国民も、自分の国の出来事と同じように祝福するよ」
来年9月には、フィリピンで男子バレーの世界選手権が開催される。あちらこちらからの「See you!」が心地よい夜だった。