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「ヘアスタイルを変えろ」石川真佑を覚醒させた女子バレー眞鍋政義監督“驚きの提案”「髪型を変えれば活躍できる…ポニーテールにしろ!」

posted2024/07/02 17:01

 
「ヘアスタイルを変えろ」石川真佑を覚醒させた女子バレー眞鍋政義監督“驚きの提案”「髪型を変えれば活躍できる…ポニーテールにしろ!」<Number Web> photograph by Getty Images

2022年世界選手権の大会中に眞鍋政義監督の提案で髪型を変えたという石川真佑。覚醒のきっかとなったのか?

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眞鍋政義

眞鍋政義Masayoshi Manabe

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 バレーボール女子日本代表がパリ五輪出場を決めた。さらにはネーションズリーグファイナルで決勝に進出。イタリアに敗れたものの準優勝という素晴らしい結果を得た。パリ五輪メダル候補にも浮上した女子バレー代表チームを率いる眞鍋政義監督の著書『眞鍋の兵法 日本女子バレーは復活する』(文藝春秋刊)より、選手選考の舞台裏について触れた項を抜粋して紹介します。<全2回の後編/前編へ>

世界選手権では石川真佑を途中交代で起用

 2022年ネーションズリーグ初戦。因縁の韓国を相手に、石川はいいプレーを見せてトラウマを断ち切ったかに見えた。しかし、その後の調子はいまひとつ。プレ大会では主にリリーフサーバーとして起用し、随所でいいプレーを見せた。ただ、本来の力はまだ発揮していない。やはり精神面の問題だろう。世界選手権ではとりあえずプレ大会同様、途中交代で起用することにした。

 1次ラウンド、日本(当時の世界ランキング7位)はD組に入り、オランダのアーネムという都市で試合をすることになった。対戦相手はコロンビア(17位)、チェコ (23位)、中国(4位)、ブラジル(2位)、アルゼンチン(21位)。中国とブラジルがいる厳しい組だが、6カ国中4位までに入れば2次ラウンドに進むことができる。下位のチーム相手に取りこぼさないことが大事だ。

  初戦はコロンビアを相手に3-0で快勝した。スターティングメンバーは井上愛里沙(OH)、横田真未(MB)、林琴奈(OH)、古賀紗理那(OH)、島村春世(MB)、 関菜々巳(S)、福留慧美(L)。井上が21得点、古賀が16得点で、1セット平均5得点を超えた。さらに、林も14得点。日本の勝ちパターンである。

  2戦目の相手はチェコ。前日の試合からスタメンを入れ替え、横田のポジションに山田二千華、林のポジションに石川真佑を入れた。世界選手権は長丁場の戦い。選手の疲労や怪我、さまざまな可能性を考え、余裕のあるときにできるだけ多くの選手をコートに立たせておきたい。この試合も問題なくストレート勝ちを収めた。

 そして、3戦目は中国。スタメンは現時点でのベストの布陣、1試合目と同じ形に戻した。

 第1セットは一進一退。サイドアウトを繰り返しながらデュースにもつれ込んだが、 競り負けて26-28。第2セットは中国の勢いに圧倒され、17-25 。第3セットは粘り強く戦い、石川のサービスエースで25-24とセットポイントを握った。だが、そこで 決めきれず27-29。終わってみれば0-3のストレート負け。やはり世界選手権になると、トップチームはギアを上げてくる。ネーションズリーグとは選手たちの目の色が違う。

 この試合、敗戦以上に痛かったのが、古賀のアクシデントだ。第3セットの途中、ブロックからの着地時に転倒。右足首を捻挫してしまったのである。東京オリンピックの悪夢の再来。思わず天を仰いだ。幸い重症ではなかったが、当面は戦列を離れざるをえない。

古賀の穴を埋めてもらうため、ひらめいたこと

 大会はまだ序盤。ここでエースとキャプテンを同時に失ってしまったダメージはあまりにも大きい。しかし、次は中1日でブラジル戦が待っている。途方に暮れている暇はない。古賀の穴を埋められる力を持つのは石川だけだ。なんとかして彼女に巣食う負のイメージを取り払わなくてはいけない。何かいい方法はないものか......。

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