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「直球は160km、でも甲子園は1回戦負け、進路はMLB公言」…高校生・大谷翔平を人気漫画のスカウトはどう評価する? 作者が語る大谷「漫画超え」問題
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by(L)JIJI PRESS、(R)クロマツテツロウ/集英社
posted2024/06/23 11:00
漫画『ドラフトキング』の主人公である敏腕スカウト郷原眼力(右)と高校時代の大谷翔平選手
「特に内野手だとアメリカはほとんどが天然芝の球場で、日本の人工芝とは環境が異なります。人工芝はイレギュラーがないですし、打球速度も全然、違う。そうなると、少なくとも守備の面では日本で成果を残してもMLBから評価してもらえない。じゃあとんでもなく打撃で活躍するしかないわけで、そうなるとそれはそれでハードルが非常に高い。
であれば、マイナーであろうとなるべく向こうに早く行って、“慣れる”ことが一番の近道でもある。だからもし僕が作中で『MLBが志望です』という内野手のキャラクターを出すとしたら、郷原は獲らない可能性が高いでしょうね。選手によっては『君にMLBは無理だけど、NPBのトップにならなれる』と説得するかもしれません。NPBでの頑張りが、そのままMLBに繋がっていると言いきれない部分がありますから」
大谷選手を「口説いた球団もフィクションみたい」
前例のある内野手ですらNPBとMLBとの間には、客観的に見ても大きな溝がある。
ましてや二刀流など当然、近代野球に前例はない。今でこそ当然のようになっているが、NPBに入ったばかりの頃は大谷選手にも懐疑的な意見も多かった。だからこそ、未来の二刀流でのMLB挑戦を前提に日ハムが大谷選手を説得したのは衝撃でもあったのだ。
「一応リアル路線の漫画を描いている者としては、そういう意味で大谷選手本人はもちろん、実はそれを口説いた球団もフィクションみたいなことをしているなと思います(笑)。こんな説得の仕方、漫画で描いても『そんなことするわけない』って却下されてしまう」
結果的にそんな球団側の描いた夢物語を実現し、いまではMLBでホームラン王とMVPまで獲得してみせた大谷選手。クロマツさんのような野球漫画家にとって、その存在はどんなものなのだろうか。