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甲子園の風BACK NUMBER
大谷翔平のスライダーから「音が聞こえたんです。シュルルルって…」甲子園で花巻東を撃破も…大阪桐蔭“黄金世代”の副将が語る「衝撃の記憶」
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by(L)JIJI PRESS、(R)KYODO
posted2024/06/21 17:11
大阪桐蔭高校時代は副将として大谷翔平擁する花巻東を破り、春夏連覇も達成した白水健太。いまでも記憶に残る衝撃の「音」の正体は?
昨秋、星稜が優勝した明治神宮大会と並行した時期に行われていた社会人野球の日本選手権大会。大阪ガスとHonda熊本との決勝も、実は選手全員を引き連れて京セラドームのスタンドで生観戦していた。
遠征のついででもなく、決勝戦だけを見に日曜日の早朝に福井から電車を乗り継いで大阪へ。「保護者の方には(交通費の負担等)色々理解をしていただき、本当に感謝しています」と白水は明かすが、普段触れられない空気を肌で感じさせることが何かのきっかけになると、思い切った作戦を昨秋から敢行してきた。
常に日本一を意識させ続け、春の県大会では優勝。だが、夏は甘くないことは十分理解している。
「自分はまだ指導者として全国大会にも出ていないので偉そうなことは言えないですけれど、夏は県大会の最初から強いところと当たるくらいの気持ちでやっていかないと勝てないです。甲子園には“行きたい”ではなく“行く”くらいの気持ちでやらないと」
「”大阪桐蔭の白水”は、もういいのかな」
言葉の端々には強い覚悟を込める。26歳で監督となり、何度も自分を気に掛けてくれる恩師の大阪桐蔭・西谷浩一監督からの電話や、自分のために集まり、周囲で支えてくれるスタッフ、そしてかつての“球友”らの存在が大きな支えとなっている。
ただ、こんな本音もふと漏らす。
「今いる子らって自分が大阪桐蔭でプレーしていた頃を知らない子がほとんどなんです。自分を福井工大福井の白水って見てもらえているんです。“大阪桐蔭の白水”っていうのは、もういいのかなって思っています」
福井に根を下ろし、突き進んできた道。紆余曲折を繰り返しながらも綴ってきた高校野球生活第2章は、今夏、ひとつのヤマ場を迎えようとしている。