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「カマダより戦術が何よりも優先された」“プレミア移籍ほぼ確定”鎌田大地の不遇をイタリア人記者が惜しむ「誰もが評価した、彼の姿勢は」
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ルカ・ビアンキン/ガゼッタ・デッロ・スポルトLuca Bianchin / La Gazzetta dello Sport
photograph byNicolò Campo/Getty Images
posted2024/06/20 17:00
ラツィオで苦難の前半戦を過ごしたが、終盤に力を発揮した鎌田大地。クリスタルパレス移籍が確定と報じられる中、イタリア人記者はどうこの1年を見たか
新指揮官の就任初戦となったセリエA第30節のホームでのユベントス戦に先発し、1-0の勝利に貢献すると、そこから最終節のホームでのサッスオーロ戦までの9試合に先発。鎌田はみるみる自信を取り戻していき、第33節のジェノアとのアウェー戦では後半にルイス・アルベルトの試合唯一の得点をアシストした。
第35節の敵地でのモンツァ戦では前半に出色のパフォーマンスを披露し、強烈なシュートで相手GKを襲い、チーロ・インモービレの先制点に繋げている。
また第37節には、すでに優勝を決めていたインテル・ミラノの本拠地でゴールを決めた。
最終的にチームは7試合無敗でシーズンを終え、7位でセリエAを終えた。鎌田の貢献度は小さくない。実際、サッリが指揮を執っていた頃も、前述のナポリ戦だけでなく、10月のフィオレンティーナ戦でも、チームの勝利につながるプレーを披露しているのだ。そうしたパフォーマンスを正当に評価されなかったのだから、モチベーションが保てなくなったとしても不思議ではない。
もっとも、サッリ監督は次のように説明したこともあるのだが。
「カマダのことは常に考えているし、私は彼を好んでいる。だがルイス・アルベルトやゲンドゥージと共存させる形が、なかなか見出せないのだ」
イタリアでは戦術が何よりも優先される傾向が、今もある。それは事実だ。
鎌田サイドとラツィオ会長、決裂したのは間違いない
シーズン終了後、クラブ側は2027年までの新契約を提示したが、選手側は2025年までの1年の契約延長を望んだ。しかし交渉はうまくいかず、彼がここの水色のシャツを着る姿はもう見られないだろう。なにより本人が、次のように語っているのだ。
「100%、ラツィオを離れます。当初はここに留まろうと考えていたのですが、イタリアは簡単なところではなく、そのなかでもラツィオの会長は交渉するのが難しいことで知られている。十分な賃金を得ているので、契約は1年だけ延長したかったのですが、合意には至りませんでした」
すると、クラウディオ・ロティート会長は彼の異なる見解を明かした。
「カマダ側は1年の契約更新に加え、250万ユーロのボーナスを要求したのだ」
どちらが本当のことを言っているのかはわからない。ただいずれにせよ、両者の関係が決裂したのは間違いない。
「10人のダイチをピッチに立たせたいくらいだ」
一方、鎌田は自身の復活を促したトゥードル監督について、こう語っている。