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「エンドウはリバプールに愛される」名将クロップの予言通り…英国人記者が見た遠藤航31歳への“手のひら返し”世界最強DFは「ソリッドな6番だ」
posted2024/06/30 17:00
text by
ジョン・ブルーウィンJohn Brewin
photograph by
Stu Forster/Getty Images
「彼はリバプールのサポーターに愛される要素を持っている」
今季までリバプールを率いたユルゲン・クロップ監督は遠藤航を獲得した際に、そう言った。
イングランド北西の港湾都市、ワーキングクラスの街を本拠とするこのクラブは、カルトヒーローを好む。もとより、とびきり裕福なクラブではないし、そうだったこともない。イングランドと欧州でもっとも大きな成功を収めてきたクラブのひとつではあるが、戦力の多くは大金を積んで迎えた選手たちではない。比較的廉価で加わったニューカマーたちが、ハードワークや献身性でファンのハートを掴み、いつしか英雄として崇められていく。そうした伝統を持つ名門だ。
“次善策”扱いの遠藤に当初の期待値は高くなかったが
昨夏にシュツットガルトから推定移籍金1600万ユーロで加入した遠藤は、中盤の刷新を図ったクラブが真っ先に食指を伸ばした新戦力ではなかった。ジョーダン・ヘンダーソンやファビーニョといったベテランが去り、多くのファンがその後釜に望んだのは、モイゼス・カイセドやロメオ・ラビアら若々しいタレントだった。
しかしエクアドル代表とベルギー代表のふたりはチェルシーへ移籍。そうした経緯もあり、遠藤は次善策として迎えられたと見る向きもあった。しかも30歳で新加入したアウトフィールドプレーヤーは、2016年のラグナル・クラバン以来だった。南野拓実に次ぐ、リバプール史上2人目の日本人選手への期待は当初、決して高かったわけではない。
だがシーズンが終わった今になって振り返ると、チェルシーで不甲斐ないシーズンを送ったふたりよりも、遠藤の方がはるかに新天地に大きく貢献した。
評価されるべき“獲得オペレーションのウラ側”
ただしクロップ監督からすれば、当然の帰結だったのかもしれない。
「適切な仲間に囲まれ、君に似合うシャツを着れば、ピッチでも居心地がよくなるはずだ」とこのドイツ人指揮官は、遠藤との初対面時にそう話したという。
「我々は君を本当に必要としている。君のハートと両脚、フットボールに関する能力と頭脳、そして強い意欲。私たちには、それらが必要なんだ」
実際に獲得のオペレーションを担当したのも、ドイツ人だった。