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平良海馬でも髙橋光成でもない…「メジャー評価がいま最も高い西武の投手」今井達也26歳は何がスゴイ? スカウト「防御率1点台を見せて欲しい」
text by
中島大輔Daisuke Nakajima
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/16 06:01
今季の開幕投手を務め、これまで防御率1点台を記録している今井達也。メジャーからの評価が急上昇しているという
「先発として長い回を投げるので、無意識下でたぶん勝手にセーブしているところもあります。メカニクス(目に見えない体重移動などの動作)的にも中継ぎのときから勝手に変わったところもあるので。中継ぎのパフォーマンス(メカニクス)で長く投げたほうがいいのは間違いないので、そこを目指してやっています」
平良には独自の持ち味もある。近年注目されるVAA(Vertical Approach Angle、投球のベース上での通過角度)という指標だ。VAAが0度に近いと三振を奪いやすく、身長の低い投手が三振を取れる傾向にあると言われる。平良はこの点も意識するほど野球の研究に貪欲だ。中継ぎだった頃と同様の投球メカニクスで先発でも投げられるようになり、同時に右前腕の状態が万全になれば、高い評価でのメジャー挑戦も可能性として膨らむだろう。
山本も千賀もクリアした「防御率1点台」
メジャーでの活躍を占う上でも、某MLB球団のスカウトは高いハードルを設定している。
「メジャーに移籍したい日本人投手は、NPBで防御率1点台を見せてほしい。山本由伸も千賀滉大もクリアしていますから」
防御率1点台を山本は2021年から3年連続で達成してドジャースへ、千賀は2022年に記録してニューヨーク・メッツと大型契約を結んだ。近年、極端な“投高打低”の傾向にあるNPBだが、防御率1点台という支配的な投球ができれば、打者のレベルが格段に上がるMLBでもやって行ける可能性は高いだろう。
シュート回転が悪いと思ってない
現在、メジャーに最も近い位置にいるのが今井だ。まだ今季7試合を終えた段階だが、防御率1.47はリーグ2位の成績だ(5月15日時点。髙橋光成は5試合で防御率3.30、平良海馬は5試合で1.42。ともに規定投球回数未満)。
「佐々木朗希を除けば今、NPBで最も質の高い球を投げているのが今井です。ストレートは強いし、スライダーも空振りをとれる。メジャーに移籍することを考えたら、もう少しストライク率が高まってくるといいですけどね。でも、全体的には確実に良くなっています」(前述のMLB球団スカウト)