野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
「FAやトレードで主力を獲る考えはなかった」DeNAの元GMがそれでも「筒香嘉智だけは別」と語るワケ…「尽くせる誠意は全部尽くして、全力で獲る」
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/19 06:00
DeNAに復帰し早々に活躍を見せている筒香。FAには消極的だったという高田氏も「筒香は別」とその存在感に太鼓判を押す
――開幕しても、支配下の期限は7月まであります。シーズンの途中でけが人や外国人が計算外だったりと、穴の空いてしまったところで戦力の補充をすることもありますよね?
高田 本当はそれもしないで済むのが理想や。GMの仕事はシーズンに入るまで。オフの内にドラフトなどで補強して戦力を作ったら、あとはもう「監督、コーチの皆さん、これでやってね」とお渡しする。毎年ケガとスランプは必ず起こるよ。でもそれがあったから優勝できなかったとは言い訳にしかならない。バックアップの人員を作っていれば問題ないんだよ。そこまでやるのがチーム作りだから。
FAには「出て行かれていい備えをしておく」
――FAで獲らなくても、海外を含め主力が出て行ってしまうことも多々あります。日本ハムもベイスターズも多くの選手が去っていきました。
高田 出来得る限りの引き留めはするけど、それも選手の権利よ。主力選手がFA権を取る年はわかっているんだから、出て行かれてもいい備えを数年前からしておくこと。常に最悪のことを考えて準備をしておく。去年は今永(昇太)が海外に行ったけど、その準備も数年前からしてきたはずだよ。そのうえで石田(健大)や戸柱(恭孝)みたいに残ってくれたら、それはそれで戦力は上積みになる。
――ちなみに、これまでに完璧な状態で現場にチームを渡せたことなんてあるんですか?
高田 そりゃ無理だろうね。想定通りにシーズンがいくわけがない。常にあそこが足りない、ここにもう一枚欲しいという不安はずっとある。だからGM的な役職の人はマイナス思考になるんだよ。みんな胃が痛い。こんな仕事長くやってたら寿命を縮めるよ。
――今年はシーズン途中ですが、筒香(嘉智)選手が……。
高田 筒香は別や。