バレーボールPRESSBACK NUMBER
「ユウキが抜けるのは寂しくなるわ」石川祐希“スター軍団”へ移籍、ミラノの本音は…? 日本の青年がイタリアで“特別な存在”になった理由
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2024/05/15 11:00
イタリアでの9年目のシーズンを終えて日本代表に合流した石川祐希。今や世界から警戒される選手の一人となった
世界各国のスターが集まるセリエAで極東アジアのエキゾチックな外見を持つ石川と高橋藍(モンツァ)は稀有な存在であり、一般ファンの関心を集めやすい。だが、地元クラブ愛の強いイタリアで、所属クラブの垣根を越えた支持を集められる選手は極一部のスーパースターだけだ。
モデナでの初参戦から足掛け10年、石川の人気はバレー界のイタリア全国区に広がった。彼が2024年のセリエAにおける現在進行形アイドルであることは間違いない。
だが、そこはプロの世界、実績が伴わなければ評価も人気も得られようはずがない。
クラブ史上初の3位に導く活躍
バレー王国イタリアでの9シーズン目、石川は所属するパワーバレー・ミラノをクラブ史上最高位となる3位に導き、CEV(欧州バレーボール連盟)チャンピオンズリーグ出場権獲得の原動力となった。
ミラノ在籍4年目の石川は、昨季リーグMVPのOH(アウトサイドヒッター)マテイ・カジースキやセッターのパオロ・ポッロらとともにチームの得点源として活躍。
今季のレギュラーシーズンとプレーオフで石川が挙げた総得点475ポイントは、セリエA全体の中で堂々4位にあたる好成績だ。1位のイタリア代表アレッサンドロ・ミキエレット(トレンティーノ)をはじめ錚々たる強打者が居並ぶ中で、エース総数でも石川はランキング3位に相当する45本を決めた。いかなる強豪クラブであっても、対戦の際に石川を無視することはできない。
2023-24シーズン、国内カップ戦のコッパ・イタリアでも、セリエAプレーオフでも準決勝で石川の前に立ちふさがったのが、リーグ屈指の強豪ペルージャだった。