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「ユウキが抜けるのは寂しくなるわ」石川祐希“スター軍団”へ移籍、ミラノの本音は…? 日本の青年がイタリアで“特別な存在”になった理由
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2024/05/15 11:00
イタリアでの9年目のシーズンを終えて日本代表に合流した石川祐希。今や世界から警戒される選手の一人となった
5月14日、新セリエA王者ペルージャへの移籍が正式発表された。
長年チームの大黒柱だったレオンの退団に伴う、後釜としてイシカワ獲得は、イタリアのみならず欧州バレー界にとっての大きなニュースバリューを持つ。
「石川の加入で、ペルージャは完全無欠のチームになる」
イタリア最大手スポーツ紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のペルージャ番記者アントネッロ・メンコーニは語気を強めて言った。パリ五輪後に合流するであろう石川には新戦力として高い期待がかかる。
「攻撃の決定力ではレオンに軍配が上がるが、守備力では石川の方が上。多くの人間は気づいていないかもしれないが、プレーヤーとしては現時点でレオンより石川の方がより完成度が高いと私は考えている。石川はペルージャに戦術面と技術面で高次元のチームバランスをもたらすだろう」
最強ペルージャには取り逃がしたタイトルがある。欧州王座であるCEVチャンピオンズリーグだ。
クラブ最大の挑戦に向けた切り札が石川なのだと、ペルージャのジノ・シルチ会長はスクデット獲得後の地元紙インタビューでいち早く明かしていた。
ミラノの反応は…「イタリアに残ってくれるだけで十分」
ペルージャの体育館で石川を出待ちしていたミラノのファンたちとのやり取りを思い出す。4月初旬当時、すでに石川の来季ペルージャ入団はイタリア現地で既成事実化していた。
「寂しくなるけど仕方ないわ。でもイタリアに残ってくれるだけで十分。まだ彼のプレーが見られるんだから」
ファンもメディアも異口同音に“イシカワほどの選手なら優勝を狙えるチームへ行くのが当然、彼はスクデットを獲るべきプレーヤーだ”と唱える。これが今のイタリアでの偽らざる石川評だ。
セリエAはオフシーズンに入った。王国のバレーファンは、日本代表主将が王者ペルージャの一員としてセリエAへ帰還する晩夏を心待ちにしながら、VNLとパリ五輪を見守るだろう。