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「ユウキが抜けるのは寂しくなるわ」石川祐希“スター軍団”へ移籍、ミラノの本音は…? 日本の青年がイタリアで“特別な存在”になった理由
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2024/05/15 11:00
イタリアでの9年目のシーズンを終えて日本代表に合流した石川祐希。今や世界から警戒される選手の一人となった
ペルージャは、2022年世界選手権を制したイタリア代表正セッター、シモーネ・ジャンネッリを筆頭に、2023年欧州選手権MVPのポーランド代表OHウィルフレド・レオンや昨年のネーションズリーグと欧州選手権で優勝したポーランド代表OHカミル・セメニュクらを揃えた世界選抜ともいえる豪華スター軍団だ。優勝請負人アンジェロ・ロレンゼッティを新監督に迎えた今季はイタリアスーパー杯を皮切りにクラブW杯、コッパ・イタリア、そしてスクデットの国内外4冠を達成。王者にふさわしい堂々たる戦いぶりだった。
ミラノも決して悪いチームではなかったが技術面での差に加え、ベンチ層の厚さや指揮官の経験、タイトル獲得への執念やクラブ組織のノウハウ、ファンの熱などあらゆる面でペルージャには及ばなかった。
プレーオフ準決勝でも圧倒したペルージャの対ミラノ攻略法が、チームの要である石川潰しにあったことは明白だった。相手ホームの第3戦ではサーブでもアタックでも狙われ、リズムを狂わされた石川はたまらずベンチへ下げられた。いかなる苦境でもコートの中にいるべき背番号14が、苦い眼差しで戦況を見つめていた。
見返した3位決定戦での決定力
人気と実力がどれだけあっても、真のトッププレーヤーになるには、タイトルが不可欠だ。石川が「スクデットを」と何度も口にしているのもその思いがあるからだろう。
石川は敗れっぱなしで終わらなかった。
セミファイナルの後、3位決定戦に臨んだミラノは強豪トレンティーノを3勝1敗で下した。優勝レースの対抗馬だった相手が準決勝で伏兵モンツァによもやの敗退を喫し気落ちしていたのは確かだが、弱り目の相手へ畳み掛けるしたたかさを見せた石川のメンタルの強さこそ頼もしいと評価すべきだろう。