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現役最後の打席で浴びたブーイング 「MLB通算175ホームラン」松井秀喜“最後の1年”は逆境の連続だった…それでもアメリカで愛された人柄
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2024/05/01 17:03
現役ラストイヤーとなった2012年、松井秀喜はレイズで2本のホームランを放った
大都市ニューヨークで「日本人の模範」になるまで
6月以降、打撃でも適応を果たし、目の肥えたメディアを満足させるプレーが目立つようになった。何よりも彼らを唸らせたのは、状況を理解した的確な打撃アプローチとその結果を導く力だった。進塁打、犠飛はもちろんのこと、タイムリーが欲しい場面では期待に応えた。いつしか「Ground Ball King」(ゴロキング)と呼ばれていた男は「Mr. Clutch」(勝負強い男)、「RBI Machine」(打点マシン)へと評価を変え、その人柄とともに大都市ニューヨークで「日本人の模範」と讃えられるようになった。現役生活を通し終始一貫、彼の紳士たる振る舞いは変わらなかった。
松井は「敬う」という言葉が好きだ。たとえどんな相手であっても敬意を払い接する。多くのことを彼から教えてもらったが、相手を敬う心の大切さは彼から学んだ大切なことだった。5月1日を迎え、再び心に刻んだ。