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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「ジュンヤ・イトウをフランス代表に呼ぶべきです」マクロン大統領夫人が…在仏英国人記者の伊東純也ホンネ評「女性問題後も歓迎は変わらない」
posted2024/04/20 17:00
text by
イアン・ホーリーマンIan Holyman
photograph by
Kiichi Matsumoto
パリの北東、約130キロほどに位置するランス(この「Reims」とフランス北部の街「Lens」は、読みも綴りも異なるが、日本語では同じカナが当てられる)。
「ディディエ、イトウを代表に呼ぶべきです」
今年1月、ノートルダム大聖堂を抱くこの街を、フランス代表のディディエ・デシャン監督と、同国大統領夫人ブリジット・マクロンがチャリティーイベントで訪れた。選手と監督の双方でW杯を掲げた名指揮官は、最近のスタッド・ランスを観ているかと訊かれ、「ウィ(Oui)」と肯定した。
「ランスに素晴らしい日本人選手がいますよね。彼の名前は何でしたっけ?」とマクロン夫人が言うと、隣にいたアドバイザーが「ジュンヤ・イトウ」と囁いた。すると夫人はデシャン監督に向き直り、「ディディエ、彼を代表に呼ぶべきです」と言った。
おそらくこれを読んでいる方の多くは、その答えがどのようなものだったかご存じだろう。そう、デシャン監督は苦笑しながら、伊東純也の国籍をあらためて伝えた(夫人も知っていたはずだが、代表チームの仕組みは理解していなかったのだろう)。
だがもし、伊東がフランス人だったとしたら?
この会話があった時、彼のリーグ・アンにおける1試合あたりのアシスト期待値は4.97。つまりそのパフォーマンスから、フル出場すれば、およそ5回はアシストに値するパスを送るだろうと、データ会社に予想されていたわけだ。リーグ3位のこの数字が物語るように、現在31歳の右ウイングはスタッド・ランスの攻撃の主軸である──フランス代表で活躍できたかどうかまでは、わからないとしても。
「あのスピードと高精度キックで大きなインパクトを」
昨季開幕前にベルギーのヘンクから加入すると、すぐさまレギュラーとなり、35試合に出場して6得点と5アシストを記録。同胞の中村敬斗が加わった今季も好調を維持し、ここまで26試合に出場し、3得点と6アシストをマークしている。2019-20シーズン以来となる、チームのひと桁順位フィニッシュに貢献しそうだ。
「彼はベルギー・リーグでもっとも危険なアタッカーのひとりと認知されていた」と話すのはスタッド・ランスのウィル・スティル監督だ。現在31歳の若き指揮官は、フランスで“イナズマ・ジュンヤ”の異名を取るエースについて、こう続けた。