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「ふざけるな!このボケッ」前田日明がブチギレ“伝説の控え室ボコボコ事件”…“被害者”坂田亘に負けた男が証言「じつはあの試合で大ケガしていた」
text by
細田昌志Masashi Hosoda
photograph byAFLO
posted2024/04/21 11:03
元プロレスラー坂田亘。前田日明“伝説の控え室ボコボコ事件”の被害者
「理由ですか? 今もわからないんだけど、古傷というか、ずっとダメージが溜まっていたとは思うんです。それに気付かず、オランダに行ったり、練習を重ねていたりしていて、それが試合中に決壊したってことかな。でも、試合前に靱帯を切って、試合そのものが中止になることがなくてよかったとは思うんです。相手にもファンにも失礼ですから。ただ、突然のことなので、やはり戸惑いました」
そこからは、当然ながら動きは悪くなった。しかし、アクシンデントを知ってか知らずか、相手の坂田亘の動きまでが散漫になっていったのである。
「おそらくですけど、坂田選手も『鶴巻がドールマンから一本取った』『ルッテンから一本取った』っていう情報を聞き知っていたのかもしれません。僕としては動きたかったけど、本当に左膝が言うことを聞かない。正直言って、寝技なら取られることはないと思っていました。でも、相手も積極的に仕掛けてこない。それで、何だかはっきりしない試合になってしまった。結果は30分戦い抜いての時間切れ引き分け。前は判定負けだったので、結果だけ見たら一歩前進したみたいだけど、もちろん、全然納得していないですよ(苦笑)」
試合後、ドクターの診察を受けて、左膝靱帯断裂を知った鶴巻は、ガチガチにテーピングをするなど応急処置を施したが、翌日は、所属するサブミッション・アーツ・レスリングの鹿児島支部によるセミナーが行われることになっており、当然、顔を出す予定となっていた。しかし、この状態では指導が出来るはずもなく、顔を見せただけに留まった。帰京して、病院で診察を受けたのは3日後のことである。
「前田さんがホメてくれた」
鶴巻が控室で激痛に悶えている頃、赤コーナーのバックヤードではちょうど、前田日明による制裁が繰り広げられていたことになる。そのことは把握していたのだろうか。