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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「ジュンヤ・イトウをフランス代表に呼ぶべきです」マクロン大統領夫人が…在仏英国人記者の伊東純也ホンネ評「女性問題後も歓迎は変わらない」
text by
イアン・ホーリーマンIan Holyman
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/04/20 17:00
3月シリーズは日本代表未招集だったが、スタッド・ランスで活躍を続けている伊東純也。フランスでの“リアルな評価”はどんなものか
「あのスピードと高精度キックで、試合に大きなインパクトを与える。展開を読む力は、おそらく天性のものだろう。多くの人が見つけられないスペースに素早く入っていき、巧みに活用するんだ」
ただし、間違いなく日本のフットボールファンには知られているように、伊東は早くから才能を高く評価されてきた選手ではない。家族からも、Jリーグの中堅どころでプレーできれば御の字と思われていたという。だからなのか、彼は初の欧州5大リーグに挑むにあたり、背番号39をつけて日本語で「サンキュー」と、多くの人々に感謝の意を表しているようだ。
“ハリルの右腕”も「これほどまでの選手になるとは」
伊東を初めて日本代表に招集した人物も、フランスと深く関わりのあるヴァイッド・ハリルホジッチ監督だ。彼のアシスタントを務めたフランス人指導者ジャッキー・ボヌベーは、この遅咲きのアタッカーについて、次のように話す。
「これほどまでの選手になるとはね。私にとっても、嬉しい驚きだ。当時の彼はフィジカルが足りず、持久力や耐久性に欠けていた。そしてなにより、ものすごくシャイだった。無口にすぎ、プロのフットボーラーとしてのプレゼンスを示す必要があったと思う。しかしとにかく努力を重ね、メキメキと力をつけていった」
そのようにしてフランスにたどり着いたわけだが、チームに合流した時も、周囲の人々の目には、引っ込み思案なニューカマーと映っていたようだ。
「ヘンクの関係者から、彼が英語を理解すると聞いていたのだが、最初は笑顔で頷くだけってことが多かった」とスティル監督は明かす。「今も流暢な英語を話すわけではないが、私たちはコミュニケーションができるし、フットボールの言葉は世界共通だ。彼は自分がなすべきこと、そして周囲からのメッセージをしっかり理解している」
クラブ史上最高額の移籍金となる1000万ユーロを投じて伊東を獲得したジャン=ピエール・キャイヨ会長も、初めて会った時から伊東に好感を抱いている。34国籍の選手を抱えるスタッド・ランスのトップは、次のように語った。
「(日本語の通訳をつけなかったことが)よかったみたいで、彼は自ら仲間と打ち解けていった。とてもナイスな青年なので、チームメイトからの受けもすごく良い」
高く安定したパフォーマンスと愛嬌あるキャラクターで、伊東はランスにとどまらず、フランス全体にもファンを増やしていた。マクロン夫人がデシャン監督に、戯れのような質問をしても、特別に驚かれるような存在ではなかったわけだ。
フランスに戻ってきた伊東に待っていた“連帯”
ところが、あのチャリティーでの一幕から数日後、伊東の人生とキャリアは一気に暗転しそうになった。