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水原一平氏の通訳能力、米でのリアル評はどうだった? 在米プロ通訳者が分析「水原氏は憑依型」「並の通訳ではない」後任との最大の違いは…
text by
奥窪優木Yuki Okukubo
photograph byJIJI PRESS
posted2024/04/03 11:00
名コンビだった大谷翔平と水原一平元通訳。その通訳能力は現地のプロから見ても卓越したものだったという
同会見では、アイアトン氏が大谷の発言を省略して通訳したという点が、ネットなどで話題となった。
「大谷選手が終盤で発言した『これが今お話しできる全てなので質疑応答はしませんが』という点をアイアトン氏は訳出しませんでした。ただ、あのような記者会見では、質疑応答がない場合はその旨を事前にメディアに説明しているはずなので、不要と言えば不要です。しかし、大谷選手の態度を正確に伝えるという意味においては、押さえておかなければといけないポイントだったと感じます」
ただ、中川氏は「スポーツ通訳としての真価が問われるのはインタビューなどの質疑応答のシーン」とも付け加える。今後、大谷の通訳を誰が務めることになるのか現時点で不明だが、世界の大谷ファンは彼のパーソナリティをありのままに感じたいと願っているはずだ。
あと1、2年もすれば「通訳なし」でこなせる?
そこで指摘されるのは大谷が「ひとり立ち」する可能性だ。前出の木城氏が話す。
「大谷選手は相当の時間を割いて英語を勉強されていると思います。メディアから英語で質問されても、通訳される前にすでに理解している様子もしばしば見受けられます。印象に残っているのが、2023年のアメリカン・リーグMVP受賞の際のスピーチです。
あれだけの長さを非母国語でこなすだけでも大したものですし、終始落ちついた態度で話していて、語学のセンスも感じました。あと1、2年もすれば、選手としての活動を通訳なしでこなせるようになるのでは」
これは大袈裟な話ではない。現在パドレスに所属するダルビッシュ有投手は、メジャー8年目のカブス在籍時、メディア対応や契約交渉にいたるまで、通訳なしでこなしていた。
大谷が、投打に加え英語力の「3刀流」となる日も近い?