思い出された、かつての「今宮健太」の姿

　175cm、72kg。大会資料にはそうあるが、昨年の秋とは首の太さや胸の厚みが違う。

　2年春のセンバツから、投手として、内野手として、甲子園のグラウンドで大暴れしていた頃の明豊高（大分）・今宮健太。プロ野球を代表するショートストップに台頭した天才肌の高校時代の躍動が、今日のセンバツでの颯佐選手のプレーぶりに、そのままぴったり重なって見えていた。

　甲子園のグラウンドに飛び出した瞬間から、体と心がはずんでいるのが見ていてわかる。

　初めての「甲子園」で、そりゃあ嬉しいのだろうが、ほんとに嬉しくてしょうがないのが伝わってくるようなキャッチボールだし、シートノックのフィールディング、フットワークに喜びが見える。今宮遊撃手の、ちょっとヤンチャな野球小僧ぶりも、ちょうどこんな感じの弾けるようなプレーの連続で、見ているこちらまで、元気にしてくれた。

明豊高時代の今宮健太　©Hideki Sugiyama

　颯佐遊撃手の「鉄砲肩」は、さらに凄みを増していた。

　本気の全力投球で一塁へ投げると、ボールが見えない。七分程度の軽い感じのスナップスローでも、ファーストミットに突き刺さるような球勢だ。

　昨年の上田西高・横山聖哉遊撃手（オリックス1位指名）のスローイング能力も人間ばなれしていたが、今年の颯佐遊撃手だって、まさに互角の「猛肩」である。

　資料には「遠投120m」とある。野球に必要な、いつでもカットできる高さで投げられる能力は、目測だが70mはあるはずだ。三遊間からの一塁送球はもちろんのこと、外野からの返球のカットプレーで深い位置から本塁で刺せる「肩」にしても、十分おつりが来る。

　昨秋の関東大会では3番を打っていたが、このセンバツでは5番。ポイントゲッターとしての役割を負っての出場だ。

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