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久保建英が“因縁の暴力的ファール主犯”と再会して〈気にするなよ〉間近で見た潔さ…スペイン名物ワインの本拠地に馴染む“14番への愛”
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2024/03/19 17:26
ホームで久しぶりの勝利を挙げたレアル・ソシエダ。怪我明けながら久保建英の表情も明るかった
そしてサポーターの喜びも一際大きく、スタジアムを揺らした。
ソシエダは、昨年11月26日のホームで勝ったセビージャ戦より、ホームでの勝利に見放されていた。ファンのフラストレーションも溜まりに溜まっていたはず。ピッチに背を向けて肩を組み、飛び跳ねるその姿を撮影するのも実に久しぶりのことだった。
ケガ明けを感じさせるようなシーンもあった
右サイドに入った久保は、先制点の起点となったCKの場面だけではなく、ノールックで右サイドのパートナーであるSBのアマリ・トラオレのオーバーラップに合わせてパスを通すなど閃きあるプレーを見せた一方で、本調子ではないことを感じさせるシーンも散見された。
実際、前半の半ばには腰の様子を窺うようなシーンを撮影した。
また、単純にトラップの置き所が意図したものとズレてしまっていると感じたシーンや、サイドチェンジを狙ったパスが大きくそれてラインを割ってしまうなど、今まで見たことのないシーンが。そこには身体の痛みの影響もあっただろうか。
対面するカディスの左サイドには、ソシエダからレンタル移籍中のロベルト・ナバーロがいて激しい攻防を見せた。
守備面においては前線から相手バックラインへプレスをかけるシーンより、中盤まで戻って対応を迫られる場面が多くなり、久保の持ち味を発揮しにくい展開となってしまった。
決して悪くはない。ただ絶好調時のプレーを知っているからこそ――調子の良くないチームにあって、久保に対する期待が高まるゆえに物足りなさを感じてしまう。そんなファンも少なくなかったのではないだろうか。
ソシエダは久々のホーム勝利、CL圏へ好転なるか
久保は後半21分にピッチをあとにしている。
その直後の23分、ソシエダは追加点を奪う。久保の抜けた右サイドで、トラオレ、シェラルド・ベッカーとのパス交換からブライス・メンデスが抜け出しクロスを送る。ニアへ走り込んだオヤルサバルが、先制点と同じくヒールでフリックすると、大外から走り込んだアルセン・ザハリャンが押し込んだ。
今季ソシエダへ加入したザハリャンにとっての初ゴールとなったが、本人だけではなく、チーム一体となっての祝福に、苦しい戦いが続く中でもチームワークの良さを感じられた。
試合は2-0のまま終了を迎え、ソシエダは約4カ月ぶりとなるホームでの勝利をサポーターに届けることができた。