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伝説的ドラマ『スクール・ウォーズ』の体罰…下の世代はどう見た? 高校野球・神村学園の監督が語る「(葛藤に)苦しんでいるのは50歳前後の方たち」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKei Nakamura
posted2024/03/22 06:00
神村学園の野球部を率いる小田大介監督、41歳
小田 (主人公の)滝沢賢治先生が中学校時代の恩師に言われた言葉に、愛とは相手を信じ、待ち、許すことだというのがあって。そのシーンの中の恩師と滝沢先生は野球のユニフォームを着ていたんですよ。
――そうでしたね。滝沢先生は、中学時代は野球部だったという設定なんでしょうね。
小田 だから野球にも通ずる言葉なんだなって思ったんです。野球も自分のことだけ考えてプレーするのではなく、仲間のことを信じないといけないんだな、と。
――私は滝沢先生を演じた山下真司さんにインタビューをしたことがあるのですが、最初、ドラマの台本を読んだときはこんなに泣けるか心配だったそうです。でもいざ撮影が始まると、現場のテンションが異様に高くて、泣くのを我慢する方が大変だったと話していました。小田さんもよく泣くのですか?
小田 泣きます。すぐもらい泣きしちゃうんですよね。正直、自分のそういうところは嫌いなんです。今回の選抜(出場校)の発表のときも、我慢しましたけど、泣きそうになりました。選ばれる自信はありましたけど、ネガティブな情報も入ってきたりするので。それこそ、信じて待つしかないなと思っていました。
――『スクール・ウォーズ』は初回の放送が1984年なので、そのとき小田さんは……。
小田 2歳ですね。僕は中学時代とか、高校時代に再放送でちょくちょく観たのが最初です。それで大学4年生の秋のリーグ戦が終わったとき、寮を出て一人暮らしを始めたんですけど、そのときにDVDを借りてまた観たんですよね。滝沢先生の生徒に対する熱い気持ちは、今も僕のベースになっています。
「愛のムチ」に違和感なかった?
――亜細亜大学の野球部寮でみんなで観ていたというわけではないんですね。
小田 ないです、ないです。あの頃は、みんな木村拓哉さんの『プライド』(2004年)とかを観ていました。アイスホッケーのドラマなんですけど。あれもなかなか熱いドラマで、すごく影響を受けましたね。
――私は『スクール・ウォーズ』直撃世代なのですが、小田監督の世代でもあのドラマに心を揺さぶられるんだなというのが意外な気もしました。ドラマの中では滝沢先生が生徒のためを思って殴るという、いわば「愛のムチ」はありなのだという描かれ方をしていましたが、ああいう価値観に違和感を覚えませんでしたか?