“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「お酒に逃げた」25歳で引退した堂安律の“元相棒”が初告白…“遠藤保仁の後継者”と呼ばれた天才パサーの後悔「なんであんな行動したんやろ」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2024/03/12 17:00
現在、指導者としての活動する市丸瑞希(26歳)。U-20W杯では堂安律や久保建英と共に日の丸を背負った
プロ3年目の2018年、若手起用に積極的なレヴィー・クルピの目に留まった市丸は、開幕スタメンを飾り、パナソニックスタジアム吹田のピッチに立つ。そこから4試合連続で先発出場し、いよいよレギュラー定着の気配も漂った。そう思ったのも束の間、第4節の柏レイソル戦で前半31分に交代を告げられた。負傷交代ではあったが、市丸にとってこれがJ1リーグでのラストゲームになった。
以降は、スタメンどころかベンチからもはずれ、再びU-23チームでの出場が増えた。ここで踏ん張れば良かったのだが、当時21歳の市丸には受け入れる器はなかった。
「なんで評価されへんねんって。今、思うと、なんであんな行動をしてしまったんやろ……と思います」
理想と乖離する現実を受け止めきれなかった市丸は、この頃からお酒に頼るようになった。覚えたてのお酒はオフに嗜む程度だったはずだが、絶望感と焦燥感に支配されていたのだろう。誘惑に負けるサッカー選手に神様は微笑まない。そこから、市丸は坂道を転がり落ちていった。
(#2へ続く)