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「もう野球を辞めようかと」オリックス戦力外、中川颯にかかってきた1本の電話…オープン戦8回無失点、“ハマのサブマリン”が誕生するまで 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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posted2024/03/11 11:01

「もう野球を辞めようかと」オリックス戦力外、中川颯にかかってきた1本の電話…オープン戦8回無失点、“ハマのサブマリン”が誕生するまで<Number Web> photograph by JIJI PRESS

今季の対外試合で11イニング無失点を記録するなどアピールを続ける中川颯。昨年、オリックスを自由契約になった中川はなぜDeNAの一員となったのか

「キャンプのとき、宜野湾組のメンバーで同級生会を開いてくれて、すごく楽しかったんです。本当に同世代はいい刺激を受けますし、みんなで頑張っていきたいなって」

 彼らが生まれた1998年といえば、偶然にもベイスターズが38年ぶりにリーグ優勝と日本一を達成したメモリアルイヤーだ。だが、あれから約26年、歓喜の時は残念ながらまだ訪れてはいない。

 今季からキャプテンになった牧を中心とした98年世代が大活躍をして、再び栄冠を掴む――。新たな使者としてチームに現れた中川と話していると、そんなドラマチックなシナリオを、ふと考えてしまうのだ。

「ベイスターズがリーグ優勝したのは10月8日なんですけど、僕の誕生日は2日後の10月10日なんです。予定日は8日だったんですけどね」

 そう言うと中川は笑った。つくづく縁の深い選手だなと思わずにはいられない。

こういった場で野球ができるは、本当に幸せ

 また多くのDeNAファンも中川の入団をとても喜んでいる。惜しくも甲子園には届かなかったが、かつてハマスタで躍動した桐光学園のアンダースローを、野球王国・神奈川県の野球ファンはしっかりと覚えている。6日にハマスタで開催されたロッテ戦で、中川はマウンドから桐光学園のタオルを振っているファンの姿を見かけたという。

「すごく嬉しかったし、こういった場で野球ができるのは、本当に幸せなことです」

 しみじみとした様子で、中川はつぶやいた。

 一度は終わりかけた野球人生。しかし運命は流転し、中川にとって一番思い入れのある場所とチームで再びチャンスは訪れた。

「いい意味で、メンタル的にも割り切ってプレーできているので、さっきも言ったように球団に恩返しできるよう、1試合でも多く優勝に貢献したいですね」

 ハマのサブマリンは、果たして敬愛する球団の歴史に名を刻むことができるか。迷いなく、心を燃焼させる日々を過ごせることを願ってやまない。

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