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北朝鮮戦5日前の通告「サウジに渡航せよ」なでしこ広報が語る“五輪切符舞台ウラ”熊谷紗希は2万キロ移動、清水梨紗「朝起きてどっと疲れが…」 

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posted2024/03/07 17:02

北朝鮮戦5日前の通告「サウジに渡航せよ」なでしこ広報が語る“五輪切符舞台ウラ”熊谷紗希は2万キロ移動、清水梨紗「朝起きてどっと疲れが…」<Number Web> photograph by JFA/AFLO

パリ五輪の出場権を大きく手繰り寄せる追加点を奪った藤野あおば(20歳)。歓喜のウラには多くの懸命なサポートがあった

 その後の出来事は、すでに結果が示したとおりである。サウジアラビアでの第1戦は0-0で引き分け、ホーム・国立競技場での第2戦は2-1で勝利し、チームは悲願のオリンピック出場権を手中に収めた。

 昨夏のワールドカップで恒例となった“選手ミーティング”を今回も決戦前夜に敢行した。文字通り、その内容は選手のみが知るところだが、メディア対応で「日本女子サッカーの未来のために絶対に勝たなければならない」と語る姿を見れば、リオ五輪予選敗退とその後の女子サッカー人気低迷を知るキャプテンを中心にどのような話があったかは容易に想像できた。

 ミーティング後、身体のメンテナンスを終えた20歳の藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)は、意を決した先輩の姿を見て「本当にすごい選手の集まりですよ」と、このチームでプレーできる幸せを噛み締めていた。

 普段は誰よりも冷静にピッチの中央でゲームをコントロールする長谷川も「きれいなサッカーというより、激しさ、球際の強さを意識したい」と語り、実際にピッチ上でも泥臭く相手に食らいつき、チームメイトを鼓舞した。

「朝起きてどっと疲れが出た」

 異例の状況下で行われた2試合だったが、池田太監督がチームに「自分たちがマネジメント可能なことに集中しよう」と働きかけ続けたことでチームとしてやるべきことが明確になり、中東の暑さや往復移動に消耗しながらも選手たちは常にポジティブに試合に臨んだ。

 それでも、試合が終わるまで誰一人として弱みを外に見せなかったなか、第2戦の翌日に再び欧州へと戻る空港で清水が「朝起きてどっと疲れが出た」とこぼしたのは、選手全員の偽りない本音だっただろう。

 国立競技場での試合を終え、宿舎へ戻りチームが解散した後、スタッフでささやかな打ち上げが行われた。佐々木委員長から缶ビールでの乾杯の音頭に指名されたのは、フライト手配を担当したチームマネージャーだった。急な移動や対応に不満を漏らすことなく協力してくれたスタッフ全員に感謝の言葉を述べた後、しかしパリへ向けてここから準備が始まると、早くも気を引き締めた。

 オリンピック開幕まであと約5カ月。なでしこジャパンの次の行き先は、もう決まっている。

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