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北朝鮮戦5日前の通告「サウジに渡航せよ」なでしこ広報が語る“五輪切符舞台ウラ”熊谷紗希は2万キロ移動、清水梨紗「朝起きてどっと疲れが…」 

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posted2024/03/07 17:02

北朝鮮戦5日前の通告「サウジに渡航せよ」なでしこ広報が語る“五輪切符舞台ウラ”熊谷紗希は2万キロ移動、清水梨紗「朝起きてどっと疲れが…」<Number Web> photograph by JFA/AFLO

パリ五輪の出場権を大きく手繰り寄せる追加点を奪った藤野あおば(20歳)。歓喜のウラには多くの懸命なサポートがあった

 そうこうしているうちにも、試合日は迫ってくる。前述の通り、AFCから「サウジアラビアへの渡航に向けて準備せよ」と連絡が入ったのは2月19日の午前中のことだ。

 これを合図に、翌20日夜の出発に向け急速に事態は進展した。

 旅行会社の担当者は、いつ動きがあるか分からないからと、この日、念のため出張用のスーツケースを持参し出勤していた。その判断が功を奏し、この日の夜、チームに先んじてサウジアラビアへ飛ぶこととなった。ちなみにこの時、現地で滞在するホテルの情報はまだ得られていなかった。ホテルは基本、主管協会によって手配がなされるが、フライト中にそれが確定することを信じて機上の人となった。

再び長時間フライト、急遽の予定変更

 選手たちも対応に追われた。

 13日のトレーニングキャンプ開始から合流していた杉田妃和、谷川萌々子を除く海外組は、2月18日に長谷川唯、千葉玲海菜、古賀塔子が日本に入り、翌19日にはイタリアから熊谷紗希、南萌華がチームに合流した。

 早朝に羽田へと降り立った熊谷と南は、昼食時にチームメイトと初めて顔を合わせたが、この時に翌日のサウジアラビア行きを伝えられた。結果的に20日に一度だけ練習をこなし、再び十数時間のフライトに臨むことになり、約2万キロにもおよぶ移動を強いられた。経験豊富な熊谷もさすがに怒りを隠せなかったが「コンディションを整えることは簡単じゃないけど、やるしかない」と決意を口にし、なんとか自らを奮い立たせた。

 残るイングランド組の清水梨紗、林穂之香、長野風花、植木理子の4選手も、急遽スケジュール変更を余儀なくされた。

 当初は日本行きのフライトに乗るために空港へ向かったが、サウジアラビアでの開催の報を受け、直前で当該便への搭乗をキャンセル。4人は、しばしの待機を経てサウジアラビアへと行き先を変更した。チームマネージャーは日本、イングランドとそれぞれの選手が滞在する地の時計とにらめっこしながら最善のフライト手配を続け、移動負担を最小限にとどめたのだった。

【次ページ】 「絶対に勝つ」“予選敗退”を知るキャプテンの言葉

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