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「現役続行か、出産&育児のため引退か」悩む29歳の女性ランナーを救った母親からの一言…前田彩里が異例の「産後のマラソン復帰」を決断するまで

posted2024/02/18 17:01

 
「現役続行か、出産&育児のため引退か」悩む29歳の女性ランナーを救った母親からの一言…前田彩里が異例の「産後のマラソン復帰」を決断するまで<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

29歳で復帰を前提として妊活、出産の決断をした前田彩里。女子長距離のプロランナーとしては異例の挑戦を振り返ってもらった

text by

佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

PROFILE

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Nanae Suzuki

 2014年、大学4年時に出場した大阪国際女子マラソンで学生新となるマラソン記録「2時間26分46秒」を記録した前田彩里。その後、29歳で出産を経験し育児休暇を経て競技に復帰、2023年にはMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)に出走した。一度、現役選手として第一線を離れて出産するという選択をどのようにして決めたのか。本人に話を聞いた(Number Webインタビュー全3回の第2回/初回から読む)

マラソンは、母がずっとやっていました

 ダイハツに入社した前田彩里は、すぐにマラソンに挑戦したい旨を当時の監督に告げた。というのも実は、大学4年の1月に大阪国際女子マラソンに出場していたのだ。     

「マラソンは、母がずっとやっていましたし、その姿を見ていたので、その影響が少なからずあったと思います。小さい頃は、その応援で全国に行き、それが旅行みたいで楽しかったんですよ。大学時代、マラソンに挑戦してみたいと思っていましたので、佛教大の監督に相談すると、『マラソンがどんなものかを経験するために走るならいいよ』と言われ、それで走ることを決めました」

「すごく脅された」初マラソン

 12月に富士山女子駅伝があるので、その練習をしつつ、大阪で30kmのレースに出た。駅伝が終わって帰省する前に30kmをもう1本こなした。11月半ばにも30kmを1回終えており、マラソンまでロング走は、30kmを3回しただけだった。レースは、市民ランナーの母も走る予定になっており、「30kmで足、止まるよ」と言われた。

「すごく脅されていたんですけど、いざ走ると全然止まらへんやんって(笑)。それは前に行かず、ひたすら1km3分30秒をキープし、キツくないペースで行こうと決めていたからです。今、3分30秒で行っていたら何してるのって感じですけど、その時は市民ランナーみたいな感じで走っていましたし、沿道からも声援をいただけて、すごく楽しかったです」

大学の時とは比べものにならないぐらい練習をする環境

 前田は、初のフルマラソンとなる大阪国際女子マラソンで2時間26分46秒(当時の学生記録)のタイムを出した。その勢いで2カ月後にダイハツに入社するも、卒業するまでの「最後の大学生活」で羽を伸ばし過ぎたせいで、最初は練習についていくことができなかった。

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