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谷繁元信、黒田博樹の野球殿堂は異論なしだが…石井琢朗や小笠原道大、和田一浩ら「2000安打達成+有資格者なのに未選出」が25人いる
posted2024/02/05 17:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Tamon Matsuzono/Hideki Sugiyama
今年の野球殿堂入りの発表があった。プレイヤー部門では、谷繁元信、黒田博樹の2人が選ばれた。この選出は順当で、異論がないところだ。
谷繁元信は1989年江の川高からドラフト1位で大洋(現DeNA)に入団。以後、横浜、中日で27シーズンにわたってマスクをかぶり、史上最多の3021試合に出場。2108安打を打ち229本塁打1040打点、ベストナイン1回、ゴールデングラブ6回、2014年からはプレイングマネージャーとしてドラゴンズの采配を執った。
殿堂入りは、選手の「多年の功績」を評価するのが第一だ。野村克也の3017試合を抜く3021試合出場は偉大の一語である。
黒田博樹は専修大からドラフト2位(逆指名)で広島に入団、広島でエースとして活躍したのち、2008年にドジャースに海外FAで移籍、2012年にヤンキースに移り、MLB7シーズンで5回二けた勝利。NPB時代は速球派だったがMLBでは2シームを駆使する打たせて取る投法でローテを維持した。2015年に広島に復帰してからも2年連続で二けた勝利。日米通算で203勝を挙げた。ドジャース時代の僚友クレイトン・カーショーも黒田に投法を学んだと言われる。
この2人は、2000本安打、200勝の大台をクリアしている。この数字は「名球会」の入会資格でもある。
しかし昨今、打者は2000本安打が「十分条件」ではなく「必要条件」になりつつある。
それが果たして妥当なのか筆者は疑問を抱いている。
2000安打達成の25人が殿堂入りしていない
現在、2000本安打は55人いる。そのうち現役選手と殿堂入り資格(被選挙権)が生じる引退後5年に満たない選手を除いて、25人が殿堂入りを果たしていない。その顔ぶれを見ていこう。
名前の前にある数字は通算安打数の歴代順位。「M」はMVP、「票」は今年の投票結果。「P」はプレイヤー表彰、「E」はエキスパート表彰。%は得票率。いずれも75%以上で殿堂入りが決まるが、3%を割ると資格を失う。なお最多安打は、1994年以前はタイトルではなかったが、それ以前の記録も含む。
安打数順に5人ずつ区切って見ていこう。
10土井正博2452安打・本1回安2回
11石井琢朗2432安打・安2回盗4回/票P42(11.9%)
20大島康徳2204安打・本1回安1回/票E36(24.5%)
21新井貴浩2203安打・M1回本1回点1回/票P28(7.9%)
24稲葉篤紀2167安打・首1回安1回/票P53(15.0%)