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「クビでも仕方がない」箱根駅伝“まさかのシード落ち”…その夜、中央大・藤原監督は4年生に頭を下げた「青学大を抜く、幻のレースプラン」 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byWataru Sato

posted2024/01/31 11:21

「クビでも仕方がない」箱根駅伝“まさかのシード落ち”…その夜、中央大・藤原監督は4年生に頭を下げた「青学大を抜く、幻のレースプラン」<Number Web> photograph by Wataru Sato

中大・藤原正和監督。箱根駅伝から3週間が経ち、NumberWebのインタビューに応じた

「それまでの10日ほど、ほとんど眠れませんでした。眠りが浅く、朝になると体調不良の連絡が来てるんじゃないかと、不安で仕方ありませんでした。4日の朝になり、『ああ、もう選手たちの体調を気にしなくていいのか。LINEのアプリを開くのに怖がる必要はないんだ』とホッとしました」

 藤原監督にとっての「地獄の10日間」は終わりを告げていた。

「青学大を抜く、幻のレースプラン」

 それから数日の休みがあったが、とにかく眠りに眠った。「5日、6日は昼近くまで眠り続けました」。すると、少し気力が湧いてきて、「箱根を振り返ってみるか……」と思い立ち、レースの映像を見た。

「青学さん、圧倒的に強かったです。特に2区の黒田朝日君、3区の太田蒼生君のパンチ力は強烈でした。12月、われわれがターゲットとしていたのは駒澤さんで、優勝タイムは10時間43分くらいと想定していましたが、青学さんは10時間41分まで伸ばしてきましたからね。ウチが万全だったら、どれだけ勝負出来たか……それを見たかったという思いに駆られました」

 箱根駅伝を振り返り、中大が万全だったらどんなレース展開になっただろう。藤原監督は想像をめぐらせた。

 1区溜池一太は、飛び出した駿河台大のレマイヤンを駒大の篠原倖太朗、青学大の荒巻朋熙らと一緒に追走する。悪くとも、30秒差でたすきを2区の吉居大和にはつなげただろう。これは青学大の荒巻とほぼ同等であることを意味する。

 そして吉居が絶好調であれば、駒大の鈴木芽吹には追いついた可能性がある。きっと、気持ちのリミッターを外せる大和なら、そうしたはずだ。そして3区中野翔太が駒大の佐藤圭汰と牽制し合い、そこに青学大の太田が絡んでくるかもしれない。しかし、中央には4区に湯浅仁がいる。湯浅が青学大と先頭を争っただろう。そして5区は耐える。

「うまく流れていれば、青学さんから1分から1分半ほどで2位というイメージでした」

 復路は追いかける展開になるが、7区の吉居駿恭で先頭が見える位置にまで追い上げられれば、8区の阿部陽樹が首位に立つ――。

「たられば」を言っても仕方がない。それでも、この中央のレース展開だけは見たかった。

「絶対に証明したいこと」

 藤原監督はレースを振り返ったことで、少し気持ちが上向きになったという。

【次ページ】 「絶対に証明したいこと」

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