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「地獄を見ました」中央大・藤原監督が明かす真相…箱根駅伝・優勝候補がまさかの13位“シード落ち”「8人発熱、悲劇はこうして起きた」
posted2024/01/31 11:20
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
KYODO
異変「のどが痛いです」
中央大学で異変が起きたのは12月21日のことだった。
箱根駅伝で起用を予定していた選手のひとりが「のどが痛いです」と申告してきた。各大学で感染症が流行していることは藤原正和監督の耳にも入っていた。これだけでおさまってくれれば……と監督はじめスタッフは願っていたが、それは始まりにしか過ぎなかった。藤原監督は振り返る。
「それから23日に発熱者が出て、24日、25日にも体調が悪いという申告が相次ぎました。そして27日には箱根で起用を予定していた溜池(一太・2年)、柴田(大地・1年)ら4名ほどが38度、39度という高熱を発して、28日には主力の吉居大和、中野翔太も体調不良を訴えてきまして……。29日には区間エントリーを提出しなければなりませんが、まさに“非常事態”でした」
学生たちに発熱はあったが、インフルエンザ、コロナウィルスの検査はいずれも陰性。それは安心材料にはなったが、解熱後も咳がなかなか収まらなかった。
監督就任8年目、第100回大会での優勝を目指していた藤原監督にとって、最悪の事態が訪れようとしていた。区間エントリーに関するスタッフとのミーティングでは、目標を修正せざるを得ないことで意見の一致を見た。
「こうした事態となり、学生たちには現実的な目標を示すことも必要でした。優勝はむずかしい。それでも当初は3位を狙っていきたいという思いはありましたが、28日の時点での状況を見ると、『シード権獲得』が現実目標になると思いました」
“狂った”プラン
とにかく元気な選手を並べるしかない。29日の区間エントリーの時点で好調だったのは主将の湯浅仁(4年)、阿部陽樹(3年)、吉居駿恭(2年)の3人だった。