そんな学校生活のある日、もめ事のひとつが「一大事件」に発展してしまう。

　中2だった森保の仲間のひとりが、中3のグループから集団で暴力を振るわれてしまったのだ。

　仲間がやられ、森保は燃え上がった。当時の森保は試合中に味方が削られたら、相手に飛び蹴りを食らわせるようなこともあった。それはピッチ外でも同じだ。中2の仲間たちを集め、中3へ“殴り込み”をかけることを決意した。

　とはいえ、中3は森保たちの学年以上にやんちゃな生徒が多かった。立ち向かうには、より多くの仲間が必要になる。

森保の地元、長崎市深堀町。長崎市の中心部から車で40～50分ほど

「ケンカの助っ人に来てくれ」

　そこで森保が声をかけたのが、隣町にある香焼中学サッカー部の岩本文昭だった。同じ学年の森保と岩本は小学校のときにサッカーで対戦してから、家が近所だったこともあって仲良くしていた。

　岩本は「事件」をこう振り返る。

「僕たちは香焼中のグラウンドでサッカーの練習をしていたんですね。そうしたら『ビー・バップ・ハイスクール』に出てくるような学生服を着た20人ぐらいの軍団が練習場に入ってきたんですよ。その先頭にいたのが森保だったんです（笑）」

深堀中サッカー部時代の森保（後列・中央）。サッカー部ではキャプテンを務めた

　長ラン、ボンタン、リーゼント。今となっては漫画や映画でしか見られないが、当時は日常に溢れていた。不良、非行少年、ヤンキー……どの表現もふさわしくない気もするが、隣町の中学生20人が乗り込んできたわけだ。

　親友・森保が口にしたのは、想像もしなかった依頼だった。

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