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プロ野球PRESSBACK NUMBER
電撃トレード、妊娠中の妻を残して北海道へ…プロ11年・谷内亮太が“守備で生きる”と決めた日「栗山さんの言葉は本当に嬉しかった」
posted2024/01/29 11:01
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
JIJI PRESS
日本ハムでユニフォームを脱ぐ時、谷内は敬意を込めて「守備の人」という称号で語られた。内野の全ポジションを堅固に守るユーティリティープレーヤー。試合終盤の守備固めや、急な故障者が出た時、選手起用のやりくりが必要な時、いつもその存在感が際立った。
元々、守備力が格段に高かったわけでも、華麗なプレーで沸かせるタイプでもない。ひたすら突き詰めたのは正確性と安定感だ。「本当はバッティングの方が好き」。本人はそう明かす。「守備の人」は、プロの世界で生き残るために自ら勝ち取ったポジションだった。
「一番のきっかけはトレードでした。ヤクルト時代は何としてもレギュラーを獲りたい、という気持ちでやってきました。でも日本ハムに移籍する、となった時に最初に思ったのはまず、このチームで一軍に居続けることにこだわりたいということ。そのためにどうすればいいのか、と自分を見つめ直しました」
秋吉亮と共に日本ハムへ交換トレード
2018年12月11日、ヤクルトが谷内と秋吉亮、日本ハムは高梨裕稔と太田賢吾という2対2の交換トレードが成立した。驚きはなかったという。少し前から、自分にトレードの可能性があるということを察していたからだ。
「ファイターズは強いし、新しいことをどんどんやっているイメージがあったので、前向きな気持ちの方が強かった。あとは冷静にチームの状況を見たときに、内野手としてチャンスがあるな、と思ったんです」
当時日本ハムの内野陣は、レギュラーが一塁の中田翔、遊撃の中島卓也。二塁は渡邉諒やベテランの田中賢介らが出番を分け合い、三塁はブランドン・レアードがロッテに移籍したため席が空いていた。
「自分のことと、チームの状況を分析したときに、一軍に居続けるための方法は、守備に特化することだと思いました。守備に振り切っていこう、と。その時思い浮かんだのは、飯山さんでした」