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プロ野球PRESSBACK NUMBER
電撃トレード、妊娠中の妻を残して北海道へ…プロ11年・谷内亮太が“守備で生きる”と決めた日「栗山さんの言葉は本当に嬉しかった」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2024/01/29 11:01
2018年12月11日、秋吉亮(右)と共に2対2の交換トレードでヤクルトから日本ハムに移籍した谷内亮太
移籍後の2019年から3シーズンは失策0。絶対にミスが許されない守備固めの選手として、常に緊張感を保ちながらプレーしてきた。「10割守って当然ですから。代打っていいなと思うこともあった」と振り返るその役割について、栗山監督からは2021年限りで退任する際に、忘れられない言葉をかけられた。
「今でも心に残っています。『谷内みたいに常に一生懸命やっている選手が報われるようなプロ野球の世界であってほしいと俺は思っているから』って。その言葉は本当に嬉しかったし、これからも自分の仕事に対して誠実に、頑張らないといけないなと思いました」
「先入観ゼロ」新庄監督が期待した打撃センス
一方で2022年シーズンから就任した新庄剛志監督との出会いは、谷内の新たな魅力を引き出した。ド派手な新庄監督を旗頭にチームが大きく若返りを図るなかで、31歳でシーズンを迎えた谷内は当初、「厳しいスタートを覚悟した」という。ところが「先入観を持たずに選手を見る」と明言していた指揮官は、その言葉通り守備だけではなく、谷内のバッティングにも目をつけたのだった。
「練習中にも気さくに話しかけてくれて喋っていると、なぜかバッティングを買ってくれるところがあったんですよ。(6月の中日戦で)サヨナラ打った後も、『俺は打つと思ってたよ!』みたいなことを言ってくれて……。そんな言葉に乗せられるように、自分の中でも新しい面が出たかなと思います」
2022年シーズンは39試合で先発出場し、前年の4倍近い167打席に立った。6年ぶりとなるホームランを放ち、3番打者でも2試合先発するなど打棒でも活躍。結果的にこのシーズン、キャリアハイの数字を残すことになったのだ。
「嬉しかったです。自分の中で守備に振り切ったとはいえ、バッティングを完全に捨てた瞬間って一回もなかったですから。プロ1年目からやってきたこういう流れで、ひとつバッティングで結果を出せたというのは、自分の中ですごく大きなものでした」