「佐々木があのゴールの直線を走ってきたときに、まずホッとして。ああ良かったなと思うと同時に、これで自分の大学駅伝が終わっちゃうんだなって……。嬉しさと悲しさが入り交じった状態で、自然と涙が出てきました」

アンカー同士健闘を称え合う後ろで涙を我慢できなくなっていた菊地　©Yuki Suenaga

　真名子監督の就任からわずか2年でシード校入り。菊地らの代こそがまさに、強豪復活への礎を築いたと言えるだろう。山あり、谷ありだった4年間、菊地はどんな思いで大学生活を振り返るのか。

「苦しい時期の方が長かったですけど、本当に続けることが大事なんだって気づかされた4年間でもありました。小学生の頃から憧れてきた箱根も、あのとき部を辞めていたら叶わなかったことですし、貧血とかでも諦めずにやってきたからこそ今の自分がある。監督の話してくれた通りでしたね」

©Nanae Suzuki

競技引退の細迫が告げた応援の約束

　走る楽しさを取り戻した菊地は、卒業後も実業団のNTNで陸上を続ける予定でいる。将来の目標についても尋ねると、引き締まった表情でこう答えた。

「元々、自分はロードでの長い距離を得意としているので、将来はマラソンで世界大会に出て行きたい。今はけっこう自分の思うような練習ができてきたので、続けられる限りは陸上を頑張りたいです」

　ハッと思い出したように、こう付け加える。

「卒業前に、次の都道府県駅伝（全国都道府県対抗男子駅伝競走大会）に宮城代表として出るんですよ。細迫くんは（レースの舞台である）広島出身みたいで、『現地で応援するから』って。大学で陸上を辞めるとも話していたので、彼の分まで頑張りたいですね」

21日の都道府県駅伝では最長区間の7区アンカーでの起用が有力視されている　©Nanae Suzuki

　沿道から、「ここで離れるな！」という声は飛ぶだろうか。菊地が笑顔で走り抜けたその先に、仲間の笑顔が待っている。

＜前編とあわせてお読みください＞