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大谷翔平が「まるで弟みたい」ちょっかいを出され爆笑…仲間達に愛されたメジャー1年目のロッカールーム「清掃スタッフにも礼儀正しい素顔」
text by
ジェイ・パリスJay Paris
photograph byGetty Images
posted2024/01/23 11:00
メジャーリーグ1年目からエンゼルスの仲間達に愛された大谷翔平
大谷の姿に大リーグファンたちが熱狂した理由
その思いは、1919年のベーブ・ルース以来の二刀流選手という触れ込みに周囲が懐疑的な目を向けても、揺らぐことはなかった。
「“ピッチャーに専念すればもっといいピッチャーになれるのに、なぜそうしないんだ” と言われても、僕が言えるのは、どうしてもいいバッターにもなりたいということだけですね」
大谷の偉大さは、ユニフォーム姿で見せるパフォーマンスの質や、160km超えの投球や137m超えのホームラン、そしてそれに酔いしれる大観衆だけで測れるものではない。
心の奥底で、彼は他人と違うことをやってみたいという思いを抱いていたのだ。自分だけの独自の野球をやりたいという、確固たる信念を持っていた。
単純に考えれば、練習時間を投打の双方に半分ずつ割り当てればいい。しかし、大谷は誰よりも努力した。そうすることで、人々の常識を覆そうという大谷の挑戦は、誰も予想しなかった野球を可能とし、周りの意識を変えていくことになった。
大谷の信じられないようなプレーは1世紀近くも人々が目にしていなかったものであり、それゆえに彼の人気には一気に火がついた。
ファンが大谷に惹きつけられるのは、メジャーリーグという高いレベルの場で彼が新たな挑戦をしているからでもある。彼自身にしか見えないであろう山頂を目指して邁進していく姿が、人々の心をとらえるのだろう。
清掃スタッフにまで礼儀正しい素顔
さらに、大谷独特の“流儀”もまた、称賛の的となっている。
親の目線で見てみると、大谷は非常に礼儀正しい人物であることに気づく。日本の文化をそのままに、大谷は誰かに近づくときに礼をする。それが相手チームのキャッチャーや審判であっても、その日の最初の打席に入るときには礼を欠かさない。
打球がとらえられてアウトとなれば、戻って自分が放り投げたバットを取りに行く。フォアボールで歩く際は、足首、肘、手首からサポーターを外し、綺麗にまとめてバットボーイに渡す。
ところで、メジャーリーガーにはヒマワリの種を食べる習慣がある。大谷もキャンプに参加したときから食べるようになり、味も気に入ったようだった。
しかし、大谷の足もとを見ても種の殻は見つからない。それは試合中、あちこちに動きまわっているせいではない。
礼儀正しい大谷は、地面に吐き捨てた殻を球場の職員に掃除させることはしたくない。だからいつも紙コップを手もとに置き、そこに殻を捨てている。