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「翔平は国民の息子みたいなもの」エンゼルス時代のチームスタッフが語っていた大谷翔平の謙虚な素顔「思いやりがあって、真面目で…」
posted2024/03/29 11:01
text by
ジェイ・パリスJay Paris
photograph by
Nanae Suzuki
エンゼルスファンのあいだで、大谷翔平の人気はもはや不動のものとなっている。
エンゼル・スタジアムで名前を呼ばれ、打席に大谷が向かうときに聞こえてくる歓声は、ときにマイク・トラウトやアルバート・プホルスに向けられるものより大きいことがある。
先発投手としてマウンドに大谷が上がれば、やはり観客は大きな盛り上がりを見せる。
大谷の一挙手一投足を見守るのは、アメリカのメディアだけではない。ざっと見て20人以上はいる日本人記者が、毎日大谷の状況を報道しているし、韓国、中国、台湾からも取材が来ている。
取材された内容は、それだけ多くの国の言葉に通訳されて発信される。水原一平が大谷の通訳であり右腕でもあるのは広く知られるところだが、メディアはマイク・ソーシア監督や大谷に関連した情報の多くを、グレース・マクナミーを通して得ている。
「私の主な仕事は、チームと各国メディアのあいだの橋渡しをして、情報を公開することなの」マクナミーは言う。「必要な情報が行き渡るように気を配っているわ」
マクナミーは即戦力としてエンゼルスの経営部門に加入してきた。12月に大谷との契約が発表された直後、マクナミーはエンゼルスの広報部長であるティム・ミードに自ら連絡を取り、期待の大型新人に関してサポートできることはないかと問い合わせたのだった。
「野球界に戻りたかったの。素晴らしい機会だし、ぜひクラブの役に立ちたいと思ったのよ」
殺到する取材陣をさばく仕事
日本人の両親を持ち、アメリカで生まれ育ったマクナミーは、すでに野球界でのキャリアを積んでいた。野茂英雄がロサンゼルス・ドジャースに入団した際、彼の通訳を務めたマイケル奥村とともに球団に採用されたのだ。オレンジ郡の住民でもある彼女は、エンゼルスにとって完璧とも言える逸材だった。