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大谷翔平が「まるで弟みたい」ちょっかいを出され爆笑…仲間達に愛されたメジャー1年目のロッカールーム「清掃スタッフにも礼儀正しい素顔」
text by
ジェイ・パリスJay Paris
photograph byGetty Images
posted2024/01/23 11:00
メジャーリーグ1年目からエンゼルスの仲間達に愛された大谷翔平
ロッカールームでは“弟のように”可愛がられていた
二刀流という独特のプレーをやり通す際には、様々な場面で柔軟性が必要となってくる。大谷はメジャーリーグのロッカールームになじめるのだろうか、という疑問を持つ者もいるかもしれない。
心配は無用だ。たとえば、チームメイトのタイラー・スキャッグスが大谷のロッカーの前を通り、スマートフォンの画面に没頭している彼を見つけたとする。
スキャッグスが大谷の頭をポンと叩いてちょっかいを出すと、大谷は笑顔を見せ、二人とも笑い出すのだ。
大谷のロッカーがあるのはクラブハウスの西側の端で、将来は殿堂入りが確実なアルバート・プホルスとも近い。コンクリートの仕切りがあるとはいえ、他にさえぎるものはないので、大谷は多くのチームメイトから親しげに声をかけられている。
まるで弟のように大谷をからかうのも、彼の挑戦がどれだけ大きなものかチームメイトが知っているからなのだろう。リラックスさせることで、歴史的な試みに挑む大谷を仲間として支えようとしている。
大谷の向かいで右側のロッカーを使っているマイク・トラウトが、ミニバスケットゴールにシュートを始めると、すぐに大谷も加わって競い出す。
ジャンプシュートのフォームが、大谷にとってのウォームアップにもなる。そしてトラウトにロッカーの近いジャスティン・アプトンが割って入り、トラウトを下してシュート大会を制する、という光景もロッカールームの一幕だ。
会場を爆笑に包んだ“コメディアン大谷”
トラウトは、その太い腕をしょっちゅう大谷の肩に回すことで知られている。二人はスプリング・トレーニングでも一緒にいることが多く、トラウトの運転するゴルフカートに大谷が飛び乗ってグラウンドを走りまわる姿も見られた。
顔を合わせるとすぐに笑みを交わす二人の友情は、大谷の入団前から始まり、強固なものとなった。自身の結婚式の準備で忙しいはずのトラウトが、ビデオ通話で大谷に入団をすすめてきたという経緯もある。
このことに大谷は心を動かされ、以来エンゼルスのスター選手と注目の新人選手のあいだに絆が生まれた。トラウトは自分以外の選手がスポットライトを浴びても妬んだりせず、大谷の入団を心から喜んだ。
大谷ものちに、トラウトを祝福することになる。すっかり彼と親しくなっていた大谷は、入団会見の際にトラウトの結婚を祝うコメントを述べ、さらにとっておきの一言を放つ。
なぜ背番号17番を選んだのかと訊かれると、トークショーのコメディアンのように、
「本当は27番(トラウトの背番号)がよかったんですけど、埋まっていたので17番にしました」と言ったのだ。
会場は爆笑に包まれ、大観衆は一人残らず笑顔になった。カテラ通りを1マイルも行けばディズニー・リゾートがある街で、大谷はこの日エンゼル・スタジアムを夢と魔法の国に変えたも同然だった。