- #1
- #2
Number ExBACK NUMBER
「ヤバい、俺死んじゃうかも」5年生存率50%以下の闘病生活を乗り越えたプロスノーボーダー・荒井daze善正の再生物語「俺がもし生き残ったら…」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/01/26 11:01
難病を克服し、社会貢献活動に邁進するプロスノーボーダーの荒井daze善正氏
DAZEとフルマッチするドナーは全国に14人見つかった。
「それが多いか少ないか分からなかったけど、結果的には少なくて、その時に提供してもらえるコンディションの人はいませんでした。ドナー登録してから1カ月で必要な患者さんが見つかる人もいれば、10年連絡のこない人もいる。そうするとドナーも環境が変わってるんですよ」
ドナーも骨髄の提供時には3泊4日程度の入院が必要になる。時間的な制約や家庭環境の変化、そしてドナー自身の健康状態も変わっている可能性があり、適合する人が見つかったから万事解決というわけにはいかない。
ドナーが見つからなかったことで絶望してしまう、治療を諦めてしまう患者もいるのだという。回復を待ち焦がれている人にとって、それだけショックが大きいということなのだろう。
「俺がもし生き残ったら…」
DAZEとマッチした14人もその時は提供できる状況にはなかった。
「こんな豊かな日本でこんな現実があるのか」
DAZEは病院の窓から外の世界を見つめて絶望した。
同時にこう思った。
「俺がもし生き残ったら『あなたのドナーは14人です』って言われる社会じゃなくて『100人いますよ』『1000人いますよ』って言われる社会に変えてやる」
そう考えることでDAZEはなんとか自分を繋ぎ止めることができた。それはスノーボーダーとして培った反骨心のおかげであったのかもしれない。
とはいえ、それも命が繋がった場合の話だ。加えて金銭的な問題も出てきた。入院費や治療費がかさみ、やがて底をついた。
そんな時、救いの手を差し伸べてくれたのはスノーボードで繋がった仲間たちだった。
<後編に続く>