体調不良は依然として続き、原因不明。スノーボーダーとしての活動も停滞どころか後退していく一方だった。そんな状態が1年も続いた頃だろうか、当時の恋人が、千葉県柏市にある国立がん研究センターにセカンドオピニオンをもらいに行こうと勧めてくれた。

　DAZE自身、躊躇する気持ちがあったし、周囲もいい顔はしなかった。

「母親にも反対されましたよ。『セカンドオピニオンって、なんて失礼なことを言ってるの。せっかく受診しているのに、先生が怒ったらどうするの』って。実際怒ったんですけどね（笑）。セカンドオピニオンをもらいに行くと伝えると、その教授先生にはめちゃ嫌な顔をされました」

自身の闘病生活を赤裸々に明かした荒井daze善正　©︎Hideki Sugiyama

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　ただし、いくら反対されようと、このままでは埒があかないのも事実だった。がんセンターに行って状況を説明すると「セカンドオピニオンではなく診察に切り替えさせてほしい」と言われたため、正式に診察を受けて検査を行った。

　診断は2週間後に出た。

『慢性活動性EBウイルス感染症』

　多くの人が体内に持っているEBウイルスが変質して発熱や倦怠感、リンパ節の腫れなどの症状が出て、さらには心不全や腎不全、悪性リンパ腫や白血病を引き起こす可能性の高い病気。100万人に1人という難病で、DAZEは余命宣告まで受けた。

　5年生存率は50％以下、というものだった。

「なんか他人事だったんです」

　DAZEは診断を受けた瞬間の心境をそう振り返った。

「そういう時って不思議と自分のことだって思えないものなんだなと。そうなんだ～っていう感じで、彼女の方がよっぽどびっくりしてました」

　ふわふわとした気持ちのまま病院を後にした。しかし、その現実感のなさは嵐の前の静けさに過ぎなかった。

ふとした時によぎる不安

　帰り道では彼女と普段通りにデートを楽しんだ。インテリアショップに入り、いろいろな家具を見て回った。そろそろ同棲することも考えていたから、2人で暮らすためにあれやこれやが必要になるはずだった。

　その時、ふと気づいた。

「あれ？　これを買っても俺には使う未来がないんじゃないか？」　

　そう考えると、頭の中にどんどん恐怖心がわき上がってきた。

「ヤバい。俺死んじゃうかもしれない」

　遠くにあったはずの現実が一気に押し寄せてくる。

「それからはパニックでした。車を運転していても何回も涙が流れ出たり、人と会話していても何気ないことで急に怒り出したり、もうどうでもいいやと思うと精神的にひどく不安定になりました。彼女に対してもそんな状態だったし、この先どうなるかわからない。だから確か電話で話をしたんです」

彼女の予想外の反応とは？

　俺たちの関係を考え直そう。そう伝えたDAZEの言葉に対する彼女の反応は予想外のものだった。

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