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トルシエ「それは違う。君は幾度もこの質問をするが…」ホンネで語る小野伸二と黄金世代「真のオノと出会ったのはワールドユースだ」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byAFLO
posted2024/01/14 17:00
99年ワールドユース決勝戦前のトルシエ監督と小野伸二。トルシエジャパンを象徴する選手の1人でもあった
「それは違う。私にとってあの決勝はU-20日本代表が素晴らしいパフォーマンスを実現したことへの最高の褒美だった。決勝はそれまでの試合とは異なるフェーズにあり、到達したこと自体がすでにひとつの勝利だった。
君は幾度も私にこの質問をしているが、決勝は私にとってそうであったから、これまで試合に出場していなかった選手を先発させた。1月に準備を始め、知性に溢れたチームがイングランドやアメリカ、メキシコ、ポルトガル、ウルグアイを破り、大会を通して能力の高さを証明した。スペインとの決勝は褒美であり、小野の欠場だけでなく、稲本も負傷でスタメンから外れた(後半から出場)。
もちろん入念に準備をしたが、アルゼンチン人の主審が開始早々にGK南のオーバーステップの反則を取ったことを忘れてはならない(間接FKからスペインが得点し、日本は開始5分でスペインに先制を許した)。彼は本山に対するプレーではPKの判定を下さなかった。もしPKを得ていたら、1対1の同点に追いついていただろう。弁解にはならないが、現実のプレーが日本の逆風になった」
小野が出ていたら勝っていた、は真実ではない
――その通りでした。
「小野の不在については語りたくない。私はこの決勝を戦った選手たちに敬意を表している。小野が出場していたら勝っていたというのは真実ではない。
ワールドユースで辿った道のりは、日本代表を強くするためのものだった。その過程を通して、私たちは優れた選手を発掘し、3年後のW杯には5人が出場した。それが私にとっての素晴らしい勝利だった」
<つづきは後編へ。ハードタックルを浴びて大ケガを負った小野だったが、トルシエはアジア杯などで彼の新境地を開拓した思い出を懐かしそうに語る。さらに現在68歳となった指揮官は、小野への“伝言”も旧知の日本人記者を介して送った>
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