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青学大の逆転劇に「自分が4区なら…」駒澤大唯一の区間賞、1区・篠原倖太朗は“歯がゆさ”を口にした…新主将は「もう一度、3冠に挑戦する」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2024/01/06 11:03
5区を必死に登りきった4年の金子伊吹を介抱する篠原。青学大に逆転され、突き放される展開となり、見守ることしかできなかった3年生エースは…
実際、全日本大学駅伝を制し、箱根駅伝を残すだけになった時、「しようと思わないとできないんで、自分はできると思っています」と、自信満々に答えていた。
その偉業達成に王手を掛けた箱根駅伝、区間エントリーの段階では補欠に回っていたが、当日変更で1区に入った。出雲同様に1区から流れを掴み、2区の鈴木、3区の佐藤で主導権を握り、後続との差を一気に広げていこうという藤田監督の戦略だった。
1区で篠原は、序盤から前に出た駿河台大のレマイヤンにつき、六郷橋でトップに立った。そのままの順位を維持し、鈴木が待つ2区鶴見中継所まで駆け抜けた。
「1区として、青山学院に35秒差をつけられたので、まずは良かったと思います」
この時は、そう思っていた。
幻の“4区篠原”プラン
1区は差が付きにくく、ライバル校に30秒以上の差をつけたのはある程度、自身の役割を果たしたといえる。だが、4区で山川拓馬(2年)が青学大に突き離された時、ある考えが脳裏をよぎった。
「1区(のペース)がかなり速くなるかもしれないということで、そこはもう自分がいくしかないということになりました。でも、4区で青学大に離された時、自分は本来、ゲームを変える走りをしないといけないので、4区ならという思いもありました。1区だとそれができない歯痒さがありましたし、圭汰が追いつかれたり、山川が離されたところを見ると、(1区の)自分がもっとうしろとの差を広げないといけなかった」
藤田監督には実際、“4区篠原”の案もあったという。
だが、山川の調子が悪くはなく、1区から一気に流れを持っていくプランで篠原を1区に配置した。4区はともかく、佐藤は設定以上のタイムで走っており、2区と3区は青学大の走りが駒澤大を上回ったことになり、どうすることもできなかった。
負けた人間は強くなる
篠原は復路での逆転を信じ、6区の帰山侑大(2年)に期待していた。だが、帰山はスピードに乗れず、青学大との差は開く一方になった。