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「お前らは中大の恥だ」という電話も…箱根駅伝の名門“まさかの予選落ち”、1年生主将&副主将が直面した伝統校の重責「誹謗中傷はかなりありました」

posted2024/01/07 06:00

 
「お前らは中大の恥だ」という電話も…箱根駅伝の名門“まさかの予選落ち”、1年生主将&副主将が直面した伝統校の重責「誹謗中傷はかなりありました」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

2016年、箱根駅伝予選会で予選落ちし、報告会で下を向く選手たち。1年で副将を務めた田母神一喜に当時の話を聞いた

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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Nanae Suzuki

 箱根駅伝での6連覇など最多の14度の総合優勝を誇る、名門・中央大学。その伝統校の連続出場が途切れる2016年に入学し、1年生ながら副キャプテンとなったのが田母神一喜だ。入学後は1500mをメインに活躍しながら、4年時には10倍以上の距離がある箱根駅伝出走を目指す異例の挑戦を行った。中大の転換期にその身を捧げた中距離日本王者が振り返る、辛苦の箱根駅伝物語――。(Number Webノンフィクション全3回の第1回/#2#3へつづく)

 メンバー変更を告げられたのは、2019年の年の瀬だった。

「今回、外れることになりました」

 中央大陸上部長距離ブロックの主将として挑んだ最後の箱根駅伝。区間エントリー10名の中に田母神一喜の名前はなかった。エントリー16名の中に名を連ねていたものの、よほどのアクシデントがない限り出場はできない。

 藤原正和監督にそう告げられた時のことを、田母神は今でもよく覚えていた。

「ただ、本番までにはどんなアクシデントが起きるかもわからないし、準備だけはしておいてくれと。けっこうショックでしたね、あれは。寮の部屋に戻って、しばらく放心状態でした」

 目を閉じれば、1年生からの思い出が次々に浮かんできた。箱根の連続出場が87回で途切れたあの屈辱から、自分たちはどう立ち上がって、ここまで来たのか。悔しさがこみ上げる一方で、ふとこの状況がおかしくも思えた。

 まさか自分がこれほど箱根駅伝に心を持っていかれるとは思ってもいなかったからだ。

僕たち1年生は何も知らないから…

 そもそも田母神が中大に進学したのは、駅伝でもなければ長距離でもなく、中距離を究めようとしたからだ。高校の恩師に勧められ、大学では1500mをメインに練習する予定だった。

 福島の名門・学法石川高時代から、そのスピードは卓越していた。インターハイでは1500mで優勝。世界ユース選手権にも出場し、7位入賞を果たしている。同級生の相澤晃(元東洋大)や阿部弘輝(元明大)らは長距離の才能に秀でており、なおさら自分は中距離で世界と勝負すると心に決めていた。

 しかし、中大に入学してすぐ、田母神は予期せぬ嵐に巻き込まれていく。入寮した2日後に、監督が交代したのだ。

【次ページ】 監督に「もうついていけません」

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