1区でアイビーリーグの選手と並走。最終的にトップで襷を佐藤圭汰（2年）に渡し、優勝の流れを作った。藤田敦史監督は「1区が勝因です。過去に駒澤大が負けた時は1区が鬼門だったんですけど、篠原が区間賞という最高の形で繋いでくれたのが一番大きかった」と篠原の走りを絶賛した。それを聞いた篠原は「アイビーリーグの選手が速いペースで行ってくれたのでラクでした。優勝に少しは貢献できたのかなと思います」と、涼しい表情でそう言った。

全日本大学駅伝では3区を走った　©Asami Enomoto

　全日本大学駅伝、チームは優勝したが、篠原は3区2位で不満そうだった。

「赤津（勇進・4年）さんが1区でトップで来た時点で勝ったなと思いました。2区圭汰、3区が自分で負けるわけがない。でも、区間賞はキムタイ選手（城西大）に負けてしまったんで、そこですよね。駒澤大で走る以上、どんな選手にも負けちゃいけないんで」

　優勝しても区間賞を獲らないと満足できない。勝たないと意味がない。常勝を自分に課して走ることができるのは質量ともに日本一ともいえる練習をこなしているからだ。

留学生であっても学生に負けていけない

　田澤廉（トヨタ自動車）が駒澤大のエースとして君臨していた頃、篠原は田澤との練習を切望し、当時の大八木弘明監督に何度も「一緒に練習させてください」と頭を下げた。「篠原が何度もそういってくるんだよ」と大八木監督は嬉しそうに語り、上を目指す姿勢を評価していた。その後、Sチームに入り、田澤、鈴木、佐藤とともに世界を目指して質の高い練習に取り組むようになった。そのレベルは実業団を超え、世界をターゲットにしたもので、そこで練習している以上、留学生であっても学生に負けてはいけないと、学生時の田澤と同じメンタルを持つようになった。

1区「まずは良かった」と思っていたが…

　そんな篠原だけに、2年連続3冠を実現するのは当然という意識だった。

【次ページ】　幻の“4区篠原”プラン