「最初の10kmをみんなけっこう早く入ったりするけど、そこで突っ込みすぎると後半止まる可能性があるからって。そう言われていたので、最初の方は余裕を持って、後半上げていく気持ちで走りました。アドバイスのおかげで走れましたね」

　箱根は初出場。謙虚で、練習熱心な2年生が、駒澤大のエースを上回る活躍を見せたことで、後続の選手が勇気づけられたのは間違いないだろう。

トップでも、鈴木芽吹は泣いていた…

　一方で、レース後に対照的な表情を見せていたのが鈴木である。

　トップで襷をつないだにもかかわらず、鈴木は唇を震わせて泣いていた。

「やっぱりキャプテンとして、チームにそういうもの（区間賞）はしっかりやらなきゃいけないと思っていたんですけど、それができなかったのはほんとに悔しいです」

　満を持しての2区出走だった。過去3大会は、大エースの田澤廉（トヨタ自動車）がこの区間を担っていた。その後継者に指名された鈴木は、並々ならぬ思いでこの2区に挑んでいた。

「本当に憧れの2区でしたし、ずっとみんなが自分の名前を呼んで、すごい応援してくれて、走っている最中は幸せでした」

2区を首位で走り切った鈴木芽吹。しかしレース後には涙を浮かべた　©Yuki Suenaga

　だからこそ、トップが獲れなかったのが悔しかった。区間2位でも決して満足はできないと話す。

「1区の篠原（倖太朗）がすごく良い走りをしてくれて、自分も続こうと思ったんですけど、それができなかった。調子も良くて、ペース的にも悪くなかったんですけど、事実として負けているので。区間1位が6分ひと桁なら、それでいかなきゃいけない。タイムは勝負の二の次だと思っているので、本当に悔しいです」

“エースの明暗”がレースに与えた影響

　わずかに13秒及ばずの区間2位だったが、エース対決の勝敗がどれほど後のレース展開に影響を及ぼすのか、それを一番よくわかっていたのが鈴木なのかもしれない。

　3区で佐藤が青学大の太田蒼生に逆転を許すと、4区、5区とさらにリードを広げられる。昨年の箱根4区から学生3大駅伝で23区間連続トップを走り続けてきたが、ついに首位の座を明け渡した。

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