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鈴木芽吹の嗚咽、黒田朝日は驚きの顔で…駒澤vs青学“箱根2区の明暗”はなぜ分かれた? 涙のエースが明かした“チームメイトへのLINE”
posted2024/01/02 20:23
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph by
スポニチ/アフロ
きつい坂を上り終えても、足はよく動いていた。
2区のゴール地点である戸塚中継所に、一番で飛びこんできたのは駒澤大の鈴木芽吹だ。
後輩の佐藤圭汰に襷をつないだ瞬間、併走する運営管理車から藤田敦史監督の安堵した声が届いた。
「芽吹、お疲れ。ありがとう」
手を挙げて応えた鈴木にも、やり切ったとの思いがあったのだろう。記録は1時間6分20秒。前回区間賞を奪った中央大の吉居大和の記録を2秒上回る素晴らしいタイムだった。
しかし、次の走者がさほど間を置かずにゴールすると、鈴木の表情がにわかに曇った。
「よく頑張ったよ、朝日。朝日が昇ったよー」
2位で襷をつないだのは、1区で9位と出遅れたはずの青山学院大。新エースの黒田朝日が軽快な足取りでゴールすると、やはり運営管理車から、原晋監督の弾んだ声が聞こえてきた。
「よく頑張ったよ、朝日。朝日が昇ったよー」
まさに、青学大にとって起死回生の走りだった。黒田の記録は1時間6分07秒。歴代4位(日本人2位)に相当するタイムで、チーム順位を大きく引き上げた。なにより、トップ駒澤大との差を22秒まで詰めたのが大きかった。
真っ先に選手の待機場所に姿を現した黒田は、区間賞と聞かされて、驚いた様子だった。
「まったく考えていなかったのでびっくりです。本当に襷を受けた時点では自分がどの順位にいるのかわかってなくて、ただ前にいる選手をどんどん抜かしていこうという意識でした」
黒田のもとに届いていた“ある人物からのLINE”
快走をアシストしたのは、前大会で2区を走り、青学大記録を作って卒業した近藤幸太郎(SGホールディングス)である。経験豊富な先輩に、前夜、黒田はLINEでアドバイスを求めたという。