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青学大・原晋監督が明かす箱根駅伝“エースに頼らない”優勝への秘策とは?「2区が絶対ではない」「今年の駒澤には田澤君がいない」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byRei Itaya
posted2024/01/01 11:02
箱根駅伝で総合優勝6回を誇る青山学院大学の原晋監督。第100回大会に向けて青学メソッドと王座奪還への秘策を語った
「青学メソッド」の流れでは、11月下旬に27分台を出す方程式はない。原監督の発想では、しっかりと照準を合わせて27分30秒台を出した選手と、練習の一環として28分10秒台を出した選手とでは、20km以上に距離が延びた時、決定的な差にはつながらないという。
「トラックで30秒、40秒差と聞くと、これは大きな差です。でも、箱根になればそこまで怖くはない。たしかに、27分台のタイムを持っていれば10kmまでの余裕度はあります。でも、それが20kmまでスイスイと行くかというと、箱根駅伝はそんなに甘い世界ではないと、私は信じたい」
優勝を目指す青学のメソッド
これまで自分が確立してきたメソッドで勝負するという信念に揺らぎはない。原監督は1年365日、箱根駅伝の区間配置を考え、カレンダーのマスに記入する。現状で三本柱となるのが佐藤一世(4年)、太田蒼生(3年)、黒田朝日(2年)の3人。彼らに加え、山内健登(4年)、荒巻朋熙(2年)らが脇を固める構想を描いている。
「佐藤、太田、黒田の3人は、11月に調整していれば10000mで27分台のタイムが出たでしょう。練習量を落としていなかった佐藤が、『7000m以降も余裕があって、楽勝でした』と話すほどでしたから。黒田も同様です。箱根優勝を目指すウチのメソッドとして、この時期に27分台を出す必要はないとご理解ください。ピークを作れば必ず反動がある。だから、私としては駒澤で27分台を出した選手たちが、箱根駅伝で成果を出せるのかどうか、それを見極めたいし、それほど慌てる必要もないと思っています。いまは、28分台のランナーを16人そろえたうえで、箱根駅伝に向け、それぞれのメソッドによる戦いが繰り広げられているんです」
駒大・田澤の卒業で好機は広がる?
駒大を恐れてはいない。しかし、取材の途中に「やっぱり田澤(廉)君だけは別格だったね」と原監督の本音が漏れた。
「彼は本当のエースだった。前回の箱根、田澤君は12月にコロナに罹って、病み上がりだったわけでしょう? それなのにウチのエースだった近藤幸太郎と大接戦を演じた。体調を崩したって行ける。これはすごいことです。今年の駒澤には田澤君がいない。これは戦略を練るにあたり、ウチにとっては大きな要素です」
原監督は、田澤の卒業によって好機は広がっているとみている。
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