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“駅伝不毛の地”沖縄出身ランナーが箱根駅伝「優勝候補」で主力のナゼ…國學院大・上原琉翔&嘉数純平「ウチナーンチュ」コンビが秘める野望
posted2024/01/01 11:04
text by
藤井みさMisa Fujii
photograph by
Misa Fujii
沖縄では陸上、特に長距離に取り組んでいる中高生の人口は少ない。
プロ野球のキャンプ地ともなっているため野球、そして室内スポーツであるバスケの人気も高い。日本テレビ系列のチャンネルがないため、箱根駅伝の地上波でのテレビ放送はない。暑さなどの気候的な要因もあり、なかなか陸上長距離をやりたい、箱根駅伝を目指そうという環境にはなりにくいのが現状だ。
野球部とバスケ部ながら全中駅伝に出場した2人
上原と嘉数はともに沖縄県那覇市の出身。実家も近く、那覇市立仲井真中学校で同級生となった。中学時代は上原が野球部、嘉数はバスケ部に所属。足の速さを買われて陸上大会にはたびたび出場していた。中学3年時にはそろって全国中学駅伝にも出場し、48チーム中36位だった。
上原は部活のかたわら、沖縄の陸上クラブ「なんじぃAC」にも参加。なんじぃACは、沖縄工業高校から亜細亜大に進み、小森コーポレーションで走ったのち、南城市役所に勤務しながら市民ランナーとして競技を続ける濱崎達規さんが主催している。上原は濱崎さんの走りを見て憧れ、「師匠」と仰ぎ「いつか濱崎さんを越える」という目標を立てて走りを磨いていった。
高校進学は、沖縄の陸上の強豪・北山高校からスカウトをもらい、陸上を続けることを決意したという。
「野球もそこまで下手じゃなかったんですけど、身長が低かったのもあって、野球部の顧問に『お前は陸上のほうが向いてるんじゃないか』と背中を押されました」
バスケ部ではPGをしていた嘉数もまた、陸上の大会に出るうえで次第に「続けていったら、もしかしたらもっと才能を伸ばしていけるんじゃないか」と思うようになったという。
ともに北山高校に進んだ2人。北山高校は沖縄県の中でも北部の本部半島の北にあり、那覇に住んでいた時とは環境がガラリと変わった。