2015年の初優勝からいきなり4連覇。さらには前回までの9年間で、実に6回の優勝を誇る青山学院大学。原晋監督は「箱根駅伝の顔」となった。
長く取材を続けてきて感じることがある。原監督の区間配置の特色は、多くの監督が好む往路特化型ではなく、10区間に満遍なく力のある選手を分配することにある。'22年に10時間43分22秒の大会記録を樹立したが、どこかに穴があったら、この記録は生まれない。どうやってこの発想に行きついたのか。「違った視点から箱根駅伝を観察できたことが大きかった」と原監督は話す。
「私は関東の大学出身ではありません。だから、箱根駅伝に対する固定観念がないんです。たとえば、2区はエースでなければならないという思いはない」
客観的な視点は、青学大のユニークなチーム作りの確立につながってきた。
「エースに頼らないチーム作り。それができたのは大きかったでしょうね。どの学校の監督さんたちも、現役時代は基本的にエースです。人間、どうしても経験に引っ張られますから、エースを中心に区間配置を決めていく傾向が強くなる。私にはそういう先入観はないから、集団としてのレベルを上げようと考えた。だから優勝した年は10人だけではなく、16人の登録メンバー誰が走っても勝てたはずです。底上げをし、激しい競争を部内に生み出したうえで、この選手には2区よりも4区の方が向いていると感じれば、そうした区間配置にしていく。2区が絶対ではない。私には先入観がないから、適材適所を重視します。それができるチームになるまで、'04年の監督就任から10年ほど必要だったということです」
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