――それに、高校サッカーで一時代を築いた黒田さんの後釜ともなれば、周囲の目も厳しいでしょう。結果が出なければ「監督が代わったから弱くなった」というような声も飛んでくる。

正木　それも覚悟の上です。仮に私が5年後、10年後まで青森山田の監督を続けていたとしても、自分は基盤を築いてもらった上で監督をやらせてもらっている事実は変わりません。（名門を）引き継ぐプレッシャーは非常に大きいですが、でも、そのプレッシャーを楽しんでやれている自分がいるんです。

――監督としては2度目の選手権が迫ってきました。1年間チームを率いて迎える選手権は、また異なるものだと思います。

正木　今年のチームは志が高く、自分たちが掲げた高校三冠（インターハイ、プレミアリーグ、選手権）という目標を達成するために、一生懸命前に進もうと努力する選手たちばかり。インターハイは3回戦で負けてしまいましたが、あれは私の経験不足です。三冠の目標が潰えてしまっても、すぐに「残り2つは必ず達成しよう」と反骨心を持ち、この年代で一番ハイレベルのプレミアリーグを制してくれました。本当に、こっちが甘やかそうとすると「もっと厳しくしてください」と求めてくるようなチームなんです。「これでOK」という気持ちは彼らに一切ない。みんなで思いを共有してサッカーができていると思います。

――いいムードで本番を迎えられますね。

開会式では青森の名産りんごを手に入場した青森山田イレブン。初戦は31日、激戦区・福岡を勝ち進んできた飯塚高と対戦する　©︎Takahito Ando

正木　トーナメントの組み合わせはかなり厳しいブロックに入りましたが、これで勝ったら本物。力のあるチームをなぎ倒して優勝をしたい。もちろん、気負わずにいつもどおりに楽しみながら挑み、先輩たちが築いてきた青森山田らしいサッカーを披露できたらと思っています。