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山本由伸が大谷翔平と「25年ドジャースのWエース」になるために…462億円契約、オリ72億円ゲットより「1年目の球数」が気になるワケ
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKiichi Matsumoto,Icon Sportswire/Getty Images
posted2023/12/23 17:13
山本由伸と大谷翔平。メジャー屈指の名門ドジャースで2人が目指すものは、もちろん世界一だ
今年でいえば、山本由伸はソフトバンクの有原航平と4回対戦して1勝3敗だった。有原は投球練習でもフワリとした球を投げるなど、ペース配分に優れた投手だ。山本が初回から力投する中で、有原は最初につまずいてもじわじわと調子を上げていく姿が印象に残っている。
“日本ラストピッチ”では138球完投をしている
また、今年の日本シリーズ、山本は初戦で阪神打線の攻略を許し、5.2回自責点7で敗戦投手になった。しかし第6戦で再度先発し、9回自責点1で完投した。6回以降、点差が開いて救援陣に託してもよさそうな状況になったが、それでも山本はマウンドに上がり続けた。最終回、山本の登場曲「Frontier」に送られてマウンドに上がる姿は、惚れ惚れするほど格好良かったが、球数は138球に上った。
山本由伸は「エースの矜持」でオリックスの7年間を駆け抜けてきた。一方で、それは「故障」「怪我」のリスクを高めていたのは間違いない。
松坂大輔、ダルビッシュ有、田中将大、藤川球児、そして大谷翔平とNPBからMLBに渡ったエース級の投手は、肘のじん帯損傷で戦線離脱することが多い。
当然のことながらドジャースは、山本由伸の肘の状態を気にかけているはずだ。どんなに調子が良くても、100球以上投げさせることはないとみられる。
カーショウはいないかもしれないが、ドジャースには同じクラスの投手が少なくとも3人いる。「エースの矜持」は持ちつつも、まずはQS(先発で6回以上投げて自責点3以下、先発投手の最低限の責任)を目標にするのが現実的なところではないか。
2025年、大谷とのWエースコンビが見たい
来季1年、先発のマウンドを守り通せば、再来年には大谷翔平が加わる。夢の日本人エースコンビを実現させるためにも、2024年を「大事」に投げてほしい。
なお2024年のドジャースは3月に韓国で、ダルビッシュ有が在籍し、松井裕樹の加入合意報道もあるサンディエゴ・パドレスと開幕2試合を戦う。高尺スカイドームは、筆者は何度も足を運んでいる。外光を取り入れたドーム球場で、エスコンフィールド北海道とイメージが近い。
順調なら山本由伸も韓国での先発マウンドに立つのではないか。そうなればDH大谷翔平との揃い踏みが実現する。パドレスは韓国のスター選手、金河成が二塁を守っていて、彼の凱旋試合ともなる。観客席は1万6000ほどしかないから、現地で見るのは難しそうだが――今から胸が高鳴る。