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「気を遣わせたくない」隠し通した最愛の人との別れ…ロッテ・吉井理人監督が声を震わせた日「母さんに何かしてあげられたかなぁ…」〈今明かす2023激闘秘話〉
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2023/12/25 06:06
「母の日」のミーティングで吉井監督が選手たちにかけた言葉には、ある思いが隠されていた
故郷の風景の中で…
激闘の日々を終え、12月になり吉井監督は故郷を訪れた。校門までではあったが、母校の箕島高校にもいつ以来か思い出せないほど久しぶりに足を運んだ。日曜日の学校は静かだった。聞けば野球部の部員は3年生が卒業し今、1年生と2年生で12人しかいないという。
近くにあった馴染みのボウリング場も、たこ焼き店も、消えていた。月日の流れを感じた。後ろにはミカン畑が広がる山があった。よく練習をこの山でさぼり、故・尾藤公監督に双眼鏡で発見されて怒られたという思い出の山だ。ふと思った。
「高校の時はもっと大きな大きな山だと思っていた。記憶の中より小さく感じた」
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周囲は言った。「オマエが大きくなったんだよ」と。
月日は過ぎていた。少年はいつしか大人になり、プロ野球の監督になっていた。残念ながら両親には監督として采配を振るったシーズンの報告を直接することはできなかった。ただ野球好きだった2人はきっと喜んでくれているだろうと思う。
2年目となる2024年。目指すはリーグ優勝、そして日本一。来年もまた人生の先輩として多くのメッセージを選手に伝えながら突き進んでいく。