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プロ野球PRESSBACK NUMBER
“松坂世代”でも未だ現役…元DeNA・久保康友43歳が“野球はマイナー”なドイツで「ユニフォームを毎日洗う理由」を質されたワケ《NPB通算97勝》
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byJIJI PRESS
posted2023/12/22 11:02
2005年のロッテ時代にはパ・リーグ新人王にも輝いた久保康友は43歳のいまもドイツで現役を続ける。右はセの新人王・青木宣親
NPB時代は「野球は義務」
指導者の打診も断った。ここからは「好きな野球に好きなように携わりたい」と、18年はアメリカの独立リーグ、19年はメキシコリーグでプレーした。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で翌年からは渡航ができず地道に練習を続け、22年は関西独立リーグの兵庫ブレイバーズに所属した。2年間の実戦のブランクがあるため、いきなり海外に出るのではなく、国内で感覚を磨くためでもあった。
妻と2人の子どもを持つ一家の大黒柱でもある。立場上、周囲からは様々な捉え方をされるかもしれないが、「家族間にしっかりした信頼関係があるから“冒険”ができている」と久保は言う。
「もちろん、家族には説明はちゃんとしています。普通なら許してくれないですよ(笑)。でも、僕はプロでプレーしている間にしっかり働いてきたと思っているので。NPBでの現役時代はシーズンが終わってもトレーニングをして、次のシーズンに備えないといけないので、シーズンオフはあってもないようなものでした。プロでやっている間は“野球は義務”というのもありましたし、野球は好きでも実際は本当に好きでやれていた割合は1あるかないかだったかもしれません」
だからこそ、今の生活はとても充実していると久保は語る。
「今はNPBにいた頃と真逆の生活をしています。アメリカから始まって、メキシコや今年のドイツなど色んな国に行きましたけれど、野球がなかったらわざわざ行っていないと思います。野球をやるうえで、世界の色んな景色も見られるのだから、その時をすごく楽しみたい。野球をやりたいと思う時にやる、今しかできないことをやりたい。それだけなんです」
とはいえ、アメリカ、メキシコとは違い、野球に関しては途上国である欧州・ドイツに渡ったのはなぜなのか。久保自身、実は前々からヨーロッパに興味があったという。