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シュヴァルグランの“大食い”も再現、TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』はキタサン世代をどう描いたか【ウマ娘考察#6】 

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屋城敦

屋城敦Atsushi Yashiro

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photograph by©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会

posted2023/12/29 18:00

シュヴァルグランの“大食い”も再現、TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』はキタサン世代をどう描いたか【ウマ娘考察#6】<Number Web> photograph by ©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会

サトノクラウン(左)、シュヴァルグラン(右)と食事をするキタサンブラック

秋古馬一挙三冠はテイエムオペラオーとゼンノロブロイのみ

 そしてキタサンブラックは凱旋門賞への挑戦をやめ、<トゥインクル・シリーズ>からの引退を決意。同時に「秋の天皇賞も、ジャパンカップも有馬記念(作中では馬の点は2つ)も、全部走ります」と語る。天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念は通称“秋古馬三冠”と呼ばれるが、現実世界で同一年にすべてを制したのはテイエムオペラオーとゼンノロブロイ、2頭だけである。

 そもそも史実では引退自体は一度年明けに宣言されていた。大阪杯の好走でそれが撤回されていたが、再び天皇賞(秋)を前にやはり年内引退することが残り3戦のプランとともに発表されたのである。なお、凱旋門賞挑戦は宝塚記念に敗れた時点ですでに白紙になっていた。

最遅優勝タイム2分8秒3

 残りすべて勝つと意気込みを新たに、迎えた天皇賞(秋)は、大雨による不良馬場という最悪のコンディション。台風の接近で酷い馬場になっていた。

 ゲートが開く前に足を滑らせ、キタサンブラックは大きく出遅れる。18戦目にして初めての大きな出遅れ。史実では足を滑らせたのではなく、前扉に突進し体を後ろに下げたところで、ゲートが開いたことが原因であったようだ。

 しかしここからキタサンブラックは誰もが避けた、ぬかるんだ最内を進み、最後はサトノクラウンの追撃を振り切ってGI6勝目を飾る。史実では武豊騎手の“神騎乗”と賞賛された神がかったコース取りによってもたらされた勝利だが、走破タイム2分8秒3はこのレースが2000メートルになってから最も遅い。天皇賞(春)を最速、秋を最遅の時計で勝つという、珍しい記録も手にしたのである。

 なお、天皇賞春秋連覇は史実ではテイエムオペラオーやスペシャルウィークらに続き、史上5頭目(秋春連覇のスーパークリークを含めると6頭目)の偉大な記録となった。

 実況が偉業を称える一方でレース後は笑顔がなく、息を切らしながら膝をつくキタサンブラック。何かを悟ったように見えるが……。<続く>
#7に続く
キタサンブラック「最後の有馬記念」をTVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』はどう描いたか?「“ユタカ”コールではなく…」【ウマ娘考察#7】

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